ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「おやすみ、母さん」

2012-01-03 22:55:57 | 芝居
11月29日あうるすぽっとで、マーシャ・ノーマン作「おやすみ、母さん」をみた(演出:青山真治)。

白石加代子と中嶋朋子の二人芝居。二人の会話から状況が見えてくる。

ジェシー(中嶋朋子)は夫セシルと別れ、母(白石加代子)と二人で暮らしている。
一人息子リッキーは不良で、彼女もその居所を知らない。兄夫婦がいる。
彼女はてんかん持ちだが、この一年間発作を起こしていない。
冒頭、彼女は屋根裏で亡父のピストルを探している。母に聞かれて始めは護身用と答えていたが・・・。

母親役の白石加代子はもちろん達者だが、セリフに特徴的な抑揚がついて、時々それが邪魔。
二人とも癖のある役柄をくっきりと描き出す。

「最終的にはあの人が『タバコとおれとどっちを取る?』と聞いて・・」彼女はそれで夫セシルでなくタバコの方を選んだ
らしい。紫煙をくゆらせつつ「こんないいもの」としみじみ言う。それならばこれほどの孤独も自業自得か。

好きなこと、夢中になれることを見つけることができれば人は生きていけるのではないだろうか。
それを発見できるようにすることが教育の目的の一つだろう。好きなこと、やりたいことがあれば、たとえ就職できなくても、
離婚しても、一人息子が手のつけられない不良で行方知れずでも、死にたいとは思わないだろう。

彼女は人を愛することができなかったのだろうか。少なくとも亡き父には愛情を抱いていたようだが。

母はいつも娘を支配し所有しようとしていた。そのことが娘を死に追いやったのか。

いずれにしても後味の悪い作品。これだから「ピューリツアー賞受賞」とあっても最近は疑ってかかるようになってしまった。
作者は一体何を言いたかったのだろう。自伝的な作品なのだろうか。
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