本題の前に、この06年に我が家が住んだ二つの街を語る。
どちらも、夫婦ともに「隠居先にしたい」と考えている大好きな街である。
まず熊本県人吉市 温泉いっぱい。川の幸(鮎・うなぎ)やお酒(球磨焼酎)が美味い。
球磨川や球泉洞といった豊かな自然に恵まれている一方で、
熊本・宮崎・鹿児島の南九州3市と等距離にあり、山間部ながら交通の便も悪くない。
現在はSLも走っているJR肥薩線は「鉄分の高い人々」にはたまらない路線と思う。
ただし、台風が通過したら一発で「陸の孤島」。さらに、たまに街中でもマムシが出没する
特に温泉は、転居先の備え付けの風呂を一度も使わなかったほどに、
人吉・球磨のいで湯にホレて、一家であちこちの立ち寄り湯を渡り歩いた。
今でも一年足らずの在住に終わったことが惜しまれる。
しかし、次に移り住んだ福岡県糟屋郡志免町 ここも住みよい街だった。
住所表記のみ見ると、ド田舎のように思えるが、福岡県の地図を見てほしい。
博多区と境を接する福岡市のベッドタウンである<人口密度は全国の「町」で1位
福岡空港や九州最大規模のイオンモールが近く、よって博多の森も近い。
この町の幼稚園に入園・卒園した4号には、今なお「オマエの出身地は志免町ね」と
言い含めている<我が家と福岡が縁続きでいるための方便
この二つの街について、長々と語ったことには理由がある。
その環境が、06年のワタシの行動に深く関係したからだ。
まず人吉市。上記したように、熊本にも宮崎にも鹿児島にも行きやすい。
おかげで、熊本市や宮崎市、西都市、綾町、さつま町を転々とした
開幕前の札幌のTMに精力的に足を運べた。
しかし、この年の札幌は48戦20勝12分け16敗。勝ち点72の6位で終了。
前年から順位を上げられず、ヤンツーもこの年限りに。
我が家の生観戦も、福岡がJ1に上がっていた=九州のJ2は鳥栖のみ
という事情で、めっきり減った。さらに、観戦運も冴えなかった。
鳥栖戦は3月の開幕戦こそ1対0で勝ったが、7月の対戦では0対4の大敗。
夏休みの瀬戸内ドライブを兼ねて、松山に遠征した8月の愛媛戦も0対1で敗れた。
ただ、この年の山場はリーグ戦とは別にあったというサポも多いだろう。
言うまでもなく、札幌史上最高の4強入りを遂げた第86回天皇杯である。
天皇杯が佳境に入る12月には、我が家はすでに志免町に移り住んでいた。
リーグ戦の不完全燃焼のもやもやに、旅客機が頭上を飛び交う環境が重なるとどーなるか?
「ひとっ飛びして、このもやもやをフクアリで晴らしてくる!」<日帰り弾丸
「フクアリで勝って8強に入った! ユアスタにも行ってくる!」<さすがに一泊(注1)
さらに、準決勝のガンバ戦@エコパは断念したが、「元日国立」の野望を胸に2号に哀願した。
「師走の時期に浪費して、さんざん遠征を重ねてゴメン」
「でも、もし札幌が決勝に進んだら、もう一度だけ遠征したい」
「元日の昼には国立に着けるように、日帰りで行かせてもらえないかな?」
2号の返答は「バカモノ!」・・・だが、拒絶の意味ではなかった。
「そんな悠長な考えでどーするの? 国立のビックマッチを甘く見たらダメだよ」(注2)
「日帰り遠征ならば朝イチの便。午前のうちに国立に着く計画を立てなさいね」
残念ながら、札幌は準決勝で敗れて「元日国立」は幻に終わったが、
2号と結婚してよかったと、しみじみ思ったエピソードの一つである。
なお、この時に購入した国立の決勝戦のチケットは今も持っている。
いつか札幌が天皇杯を制した時、スタジアムで夫婦で紙吹雪にするのが夢である。
まあ、2人とも「遺言」として、3号か4号に託すハメになる可能性も大きいと思うが・・・
(第12話に続く)
- とっておきの一枚二枚
開幕前にシーガイア@宮崎で撮った生え抜きの若武者カルテット<1人違う
左から、元気とトモキは現在は引退。セイヤは現・湘南。ケンゴのみが札幌で現役。
TM甲府戦@西都に臨む若き日のフッキ この年にリーグ2位の25得点を挙げて注目された。
しかし、当時はセレソンにまで昇り詰めるとは、母国でのW杯に出場するとは、
そして、ミネイロンの惨劇の一員になるとは、まだ想像できなかった。
注1:ただ、仙台は大学生時代を過ごした勝手知ったる街なので、安宿で済んだ。
甲府を2対0で下した準々決勝の一戦もさることながら、甲府、札幌、隣町の山形から
すべての在籍クラブのサポが集まった、岳也の「奇跡の引退式」をよく覚えている。
注2:2号は独身時代の一時期、都内でアルバイト生活を送っており、
94年のJチャンピオンシップ「東京V×広島」などを国立で観戦した経験を持つ。
- 1号
タイガーロイドに4対5の惜敗で7連勝ならず。先発の中田賢が長打攻勢に屈して5失点。
松田の2戦連続弾とか、三番手の森の7打者連続空振り三振とか、見どころもあったが。
大阪で今季2勝目を挙げた渚とのそろい踏みがかなわず残念。