中坊さんと対極をなすベンヤミン・歴史の批判

　東北のみなさん　こんにちは

　昨日、中坊公平さんが、「判断に迷った時は、将来の子孫らが正しいと思ってくれるか、つまりは歴史の批判に耐えられるかを考えた」とテレビインタビューで仰っていたことを取り上げました。そのテレビ番組を見た後、ドイツの歴史哲学者ベンヤミンの「歴史哲学テーゼ　精読」（今村仁司著、岩波現代文庫）に出会いました。この本の中でベンヤミンは中坊さんと同じように「歴史の批判に耐えられるか」を判断、行動の基準にと問うています。しかしその「歴史」が中坊さんとは正反対でした。

　中坊さんが未来の子孫がどう思うかと問うのに対し、ベンヤミンは「過去の人たちの批判に耐えられるか」と問うのです。
　ベンヤミンは過去の祖先がどう思うかを考えろ、過去の人たちの「希望」を達成するように行動せよと言っています。

　なるほど自分の子どもが何を考えているかもよく分からないのに、将来の子孫がどんな考えを持っているかなど到底分かりません。しかし、過去の方々の考え、希望は歴史を紐解けばおぼろげに分かってきます。ベンヤミンはさらに続けて過去の人たちの希望は我々の体の中に既に宿っていると言い、そこからも判断の基準を探せると。

　このベンヤミンの歴史の批判を知ってからは、中坊さんの歴史の批判でなくベンヤミンのを心に留めて置くようにしています。もちろんそのことさえ難しいのですが。

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