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桂春団治師匠が亡くなった

桂春団治師匠が亡くなった。先代桂文枝師匠、笑福亭松鶴師匠、そして昨年、桂米朝師匠が亡くなり、このたび春団治師匠が亡くなった。これで、絶滅寸前だった上方落語の発展に尽力された4人の師匠、上方落語四天王全員が鬼籍に入られた。上方落語ファンの小生としては、深い感慨を覚える。これで上方落語は、新しい時代に入ったといっていいだろう。
春団治師匠は、演じる演目を少なくしぼり、ひとつひとつの噺を徹底的に磨き上げる噺家だった。「代書」「いかけや」「祝いのし」「野崎参り」などは絶品だった。特に「代書」は、桂枝雀師匠、その弟子の雀々さんたちがやる「松本留五郎」バージョンの爆笑代書とは違い、春団治師匠の「代書」はきちんとして楷書の「代書」であった。小生、かなりの数の上方落語のDVDをコレクションしているが、確か、春団治師匠の「代書」もあったはずだ。今夜にでも観よう。
大変に端整な、男の色気を感じさせる噺家であった。師匠が高座に出てこられるだけで、観ているこっちも背筋がしゃんとする。
高座をなにより大切にされる師匠らしく、高座以外の師匠のお仕事はあまり知らないが、映画に一度だけ主演された。雪村いずみとの共演で「そうかもしれない」で、老私小説作家を演じられた。これがなかなかの名演で、大滝秀治や加藤嘉といった専門のじいさん俳優がやるより、春団治師匠が良かったのではないか。
「地獄八景亡者戯」のメイド筋にも寄席はある。これで四天王そろいぶみとなった。米朝、松鶴、先代文枝、春団治4人会というのがあるらしい。なになに、桂米朝「百年目」笑福亭松鶴「らくだ」先代桂文枝「立ち切れ線香」桂春団治「代書」うわ、聞きたいな。ま、そのうち小生もそっちへ行くんだから、その時の楽しみに取っておこう。
 3代目桂春団治師匠のご冥福をお祈りします。

で、コレクションをごそごそやってたら、春団治師匠の「代書屋」があった。観た。枝雀一門の「松本留五郎」バージョンは、客である松本留五郎に焦点があたっているが、春団治師匠の「代書屋」は、あくまで代書屋が主役である。プロの文書作成屋としての代書屋の仕事ぶりがよくあらわれている。また、春団治師匠はけん台ひざ隠しを使いはらへん。だから、空中で、硯をする、筆で字を書く、ハンコを押すという所作を演じはるのだが、それが実に見事だ。見惚れてしまった。もちろん、師匠が羽織を脱ぐのもしっかり観た。   
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