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昭和残侠伝 一匹狼


監督 佐伯清
出演 高倉健、池部良、島田正吾、河津清三郎、藤純子、扇千景、御木本伸介

 先日、亡くなった高倉健さんをしのんで、この映画を観た。ほんとは昭和残侠伝シリーズのうちで名作とされている「死んで貰います」か「唐獅子仁義」を観たかったのだが、いずれもレンタル中だった。といっても、このシリーズ、みんな同じようなものだが。ただ、高倉健と池部良の役名は、おなじみの花田秀次郎と風間重吉ではなく、武井繁次郎と桂木竜三だ。名前は違うが同じ役柄同じキャラだ。
 このシリーズも「男はつらいよ」や「007」などのシリーズモノ同様、パターンがある。「水戸黄門」と同じである。
 ええ親分と悪い親分。高倉がええ親分、池部がわるい親分の所にワラジを脱いで客分となる。悪い親分がええ親分にさんざん嫌がらせをする。血気にはやる子分どもを、健さんが必死で止める。嫌がらせはエスカレート。二、三人死人が出た所で、長ドスを手にする。悪い親分にあいそをつかせた池部が「お供いたしやす」で、男と男の道行き、殴り込みとあいなる。
 舞台が都会であったり、山であったりで目先を変える。今回は海辺の村。水揚げされるマグロを独占しようとする悪い親分。地元の浜の網元を支援するええ親分。こういうストーリーの軸にオプションがつくわけ。今回のオプションは、前半は死んだ弟分の女房の話。元参議院議長が演じる女房は、肺結核で余命いくばくもない。彼女の故郷の千葉の漁師町に健さんが連れて行く。で、彼女の父親がええ親分というわけ。ここで娘と父親の愁嘆場。さらには藤純子が居酒屋をやっている。この藤が池部の桂木の妹。その妹、健さんの繁次郎にちょっとほれてる。さらにさらに、桂木は健さんの組の親分を殺した仇。こういうオプションがからみあいながらお話は続く。繁次郎と桂木は一度は刃を交える。桂木は「今度合う時はヤクザをやめる」と妹に約束。ほとほとヤクザが嫌になった。死に場所を求めていたようだ。
 義理と人情が非常に高い湿度でからみあう、大変にウエットな映画である。もうベタベタといってもいい。でも、健さんも池部もかっこええ。
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