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とつぜんSFノート 第6回

 
 小生が生まれて初めて買ったSFマガジンは、1967年9月号№98だ。高校生のころだった。買った書店は三宮の漢口堂だったと記憶する。
 小生の高校は兵庫区にあった。神戸市立湊川高校。この私の母校は今はもうない。もちろん地下鉄なんかなかった。通学には市バスか市電を使っていた。あのころ神戸市内を緑色の市電が走っていた。行きはバスか電車だが、下校は湊川公園ほど近くの学校から、三宮まで歩いていた。そのころから散歩が好きだったのだ。三宮からは阪神電車で東灘の家まで帰っていた。
 元町の古本屋をのぞいて、三宮の新刊書店をのぞくの下校時のルートだった。よく立ち寄った三宮の書店は日東館、漢口堂、コーベブックス。日東館は大丸の北側、漢口堂はニューミュンヘン神戸大使館の南側、コーベブックスはサンチカにあった。サンチカもできてすぐだった。
 本好きの少年だったわけだ。小生は。だからSFマガジンの存在は知っていた。以前から買おうとは思っていたが、どういうわけか踏ん切りがつかなかった。そんなある日、漢口堂の雑誌売り場に、このSFマガジンがあり、意を決して売り場から抜き取りレジに持っていった。この瞬間から、小生とこの雑誌は長い長い付き合いとなる。この1967年9月号№98から、最新の2010年6月号№651まで43年間1号も欠かさず買いつづけ目を通しつづけている。たぶん、この雑誌は小生の終生の友となるであろう。
 このSFマガジン1967年9月号を紹介しよう。編集長は初代の福島正実。表紙は中島靖侃。内容は次の通り。

巻頭言    福島正実
連載コラム SF実験室 古今編集者気質 その4 ジョン・W・キャンベル
                              野田宏一郎
ひき潮   画 金森達                     光瀬龍
世界みすてり・とぴっく 奇妙な豆ツボ型UFO写真! 
                         近代宇宙旅行協会提供
スト破り 画 真鍋博 訳 小尾芙佐        アイザック・アシモフ
世界みすてり・とぴっく マリナー4号をめぐるミステリー
                         近代宇宙旅行協会提供
タイム・ケンネル 画 中島靖侃                豊田有恒
世界みすてり・とぴっく 木星こそ生命の温床?   近代宇宙旅行協会提供
頂上の男 画 中島靖侃 訳 伊藤典夫         R・ブレットナー
空洞惑星 画 金森達                     石原藤夫
世界みすてり・とぴっく ピラミッド内部の透視計画 近代宇宙旅行協会提供
SFでてくたあ                        石川喬司
SF人類動物学 ⑯サルから人間へ その2           小原秀雄
宇宙を渡る声 宇宙コミュニケーションのSF的考察 最終回 
       未知の世界との会話               石原藤夫
SFスキャナー                        伊藤典夫
さいえんすとぴっくす 暑い21世紀(米) 火星を調べるボール(米) 
           世界最大のサイリスタ(日) ポータブルTV局(米)
           月面に原子炉(米) しのぎけずるABM(米)
           無翼機のテスト続く(米) やはり耳ですって(英)
ニューヨーク・二つの会見記 ポール、キャンベルに会う     福島正実
トータルスコープ                       大伴昌司
夜 画 中島靖侃 訳 中上守          ジョン・W・キャンベル
人気カウンター
金剛石のレンズ 画 真鍋博 訳 遠川宇 
                  フイッツ=ジェームス・オブライエン
途方もないファンタジイ作家 フイッツ=ジェームス・オブライエン
      訳 山野十五             サム・モスコウィッツ
EXPO‘87 新連載第2回  画 岩淵慶造           眉村卓
てれぽーと  

 福島正実の巻頭言は、モントリオール万博を見に行き、ロス、ニューヨークを駆け足旅行して来た。アメリカSF事情についてひとくさり。アメリカのSFは純然たる都会的エンタティメントであったとのこと。
 SF実験室。キャンベルが書いた序文二つを紹介していた。
「ひき潮」おなじみ光瀬節のスペースドラマ。宇宙に生きる男たちの孤独が描かれている。宇宙で生きるには肉体はもちろん精神も強くなくてはいけないのだ。
「スト破り」アシモフの軽めの短編。自給自足の惑星で、「重要」な仕事を行う男がストした。その惑星の住民全員が影響を受ける由々しき事態が勃発。男は何を要求してストしたのか。男の仕事とは。
「タイム・ケンネル」タイムマシンで未来に拉致された、失業中の映画屋。未来人に映画の造り方を教える。未来の映画の造り方とは。和製ヒロイックファンタジーで新分野を開拓する前の豊田有恒は、こういう軽いコメディが多かった。こういう作品も必要。力の入った傑作力作ばかりだと読んでて疲れる。
「頂上の男」ショートショートである。
「空洞惑星」おなじみ石原藤夫のヒノシオ惑星シリーズ。奇怪な重力遮断現象が発生した空洞惑星キャラペイスに調査に赴いたヒノシオコンビ。キャラペイス人を恐怖に落とし入れる「重力怪獣グラヴィゴン」残念ながらウルトラ怪獣の類いではない。大気を有する無重力状態が有る惑星ならではの「怪獣」怪獣の正体は?なぜそんな怪獣が生まれたのか。ヒノとシオダはペルシダー型空洞惑星の内部を調査する。このシリーズは面白い。軽いユーモアを交えつつ、しっかりハードSFになっている。文庫にもまとまっているから、機会があればお読みになるといい。
 SFスキャナー。コリン。ウィルスンの最新作(もちろん当時の)を紹介。
 ニューヨーク・二つの会見記。福島正実がフレデリック・ポールとジョン・W・キャンベルと会う。ポールはなかなかの商売人。キャンベルは個性の強いSFのオニ。なにせ、日本の「SFのオニ」福島が、さすがに大先輩のキャンベルにはタジタジとしたようだ。
 この会見で話題になった東京での国際SF作家会議。実現はしなかったが、それから3年後1970年に国際SFシンポジウムが開催された。ポールもこの時来日した。
 トータルスコープ。テレビシリーズ「スタートレック」の詳細が判ったと紹介している。大伴は「大当たりはしまいが、学生層にはうけるかも」と書いていたが、大当たりして、21世紀になった現代も新作映画が製作されているのはご承知のとおり。
「夜」いずことも知れぬ遥か未来に飛ばされた男。短い作品だがなんとも重い作品。内容が重いのではない。書き方が重い。なんか重湯で満たされたプールを泳いでいるような読みごこちであった。
「EXPO‘87」現実の万博70年大阪万博に先立つこと3年前に書かれた作品。産業将校というキャラクターが秀逸。後の司政官シリーズのロボット官僚を彷彿とさせる。
「金剛石のレンズ」大傑作。小生がこの43年間に読んだSFマガジン翻訳SF短編で、ベスト10に入るのではないか。
 顕微鏡の研究にとりつかれた男。日々レンズの下の世界をのぞいて喜ぶ。究極の顕微鏡を作ろうと思う。そのためには140カラットのダイヤが必要。非合法な手段でダイヤを入手した男はついに究極の顕微鏡を完成。その顕微鏡でミクロの世界をのぞくと、そこに絶世の美女がいた。たちまち恋に落ちる。手の届くはずのない世界の美女に。
 非常にひきしまった短編で、すぐ読めるがその感動はずっと続く。このたび43年ぶりに再読したが、憶えていた。ロマンチックでペダントリーがあり、少しだけホラーでもある。非常に美しいファンタジー。
 幸い、2008年大瀧啓裕訳で東京創元社から、この作品を表題作とする短編集が文庫で出ている。モスコウッツが解説で触れている短編もこの本に収められている。このような埋もれた名作を43年ぶりに掘り起こしてくれた東京創元社に感謝する。ありがとう小浜さん。入手しやすい本なのでぜひご一読を。

 と、まあ、小生が生まれて初めて読んだSFマガジンはこういう号だった。
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久保あわやパーフェクト。ホームランの打ち合いなら負けへんで

 快勝や。久保6回までパーフェクト。前回は完投すれど負けやったけど、今回は完投勝利。安藤に爪のアカ贈ったれ。
 打つ方はホームランの打ち合いとなった。空中戦ならヤクルトは今年の阪神にかなうはずがない。先制は阪神。1回鳥谷の2ラン。7回このところ不振の城島の3ラン。ヤクルト青木のソロで一矢報いる。すかさず阪神金本アニキのソロ。記録のために代打で出ているとの陰口を封じる1発。阪神に来て初めての代打ホームラン。ところが8回ヤクルト武内のソロで少しだけ反撃。倍返し、9回ブラゼル2ラン。神宮ならではのホームラン乱れ打ち。久保の完投と城島久々の一発が収穫であった。昨日の雨が吉とでたか。
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