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シーズン2

09資格試験総括(第3回貸金編)

2009年12月24日 17時20分50秒 | 法律系資格

これから何回かに分けて今年行われた資格試験の総括をやっていきたいと思います。

まだ発表待ちのものもいくつか残っていますが,とりあえず来年度の受験を考えられている方は参考にしてみてください。

1回目のきょうは貸金業務取扱主任者試験

第1回目と第2回目は試験の直後に講評を書きましたが,3回目はやっていませんでしたので,ここで第3回目の試験が,1回目2回目とどう変わったのかというポイントに限定して総括してみたいと思います。

まず1,2回目と3回目の決定的な違いを分野ごとにみていきます。

         1 「法及び関係法令に関すること」

    今回の試験が1,2回目と決定的に違っていたのがここ。

          なんと問題数が1問減っている!

3回目から受験された方は特別気づかなかったかもしれませんが,この分野は1,2回目の試験では30問の出題でした。

           それが今回は1問減って29問

それだけならともかく,今回のこの分野の貸金業法は1,2回目のそれと比べると明らかに易しいものばかり。

常識で解ける問題が圧倒的に増えているということ。

その極め付けが【問題1】

穴埋めの問題でただでさえ解きやすい形式であるにもかかわらず,なんと試験問題の中に答えがすべてのってしまっているという究極の問題

この分野の問題の至るところに「貸金業の登録」という言葉が出てきます(その代表が【問題4】)。

 ア が「登録」だと分かれば,その段階ですでに2択。

更に,この試験の第3分野のタイトルは「資金需要者等の保護に関すること」。

ならば ウは当然「資金需要者等」。

これで終わり。

業法をまったく知らずとも解けてしまえる問題がいきなり【問題1】に登場。

全3回の貸金業法のなかでもっとも易しかった問題かもしれません。

この問題に限らず今回の貸金業法は非常に易しめの問題が目に付くのが特徴的(問題310,12,14,28など)。

強いて真新しいものを上げるとすれば,【問題7】「媒介手数料の計算問題」くらいでしょうか?・・

10年くらい前に宅建で頻繁に出題されていた「報酬額の計算問題」を意識してのものかもしれませんが・・・

中には業法の細かい知識を必要とする問題も含まれてはいるものの,1,2回よりかなり少なめ。

今回のこの分野は全問正解が十分ありえるレベルではないかと思います。

         2 「貸付及び貸付に付随する取引~」

前の分野で1問減った部分がこっちに上乗せされ13問へ

ただ単に1問増えたというだけではなく,問題のレベルそのものがかなり上昇。

「法及び関係法令」とはまったく対照的な結果になりました。

なかでも民法の難易度が1,2回目よりもかなり高くなってきました。

【問題30】「期限」32「相殺」33「相続」などは完全に条文知識がないとほぼ絶望的。

1,2回目の民法はどちらかというと,大学の法学部の教養課程で履修する「法学概論」や行政書士試験の「基礎法学」のような問題レベルでしたが,3回目でこのレベルまで来たということは,4回目はかなり前から言い続けてきた管理業務主任者の民法のレベルまで行くかもしれません。

そこまで行くと別の対策が必要になりそうですが・・

【問題34】「手形」の問題。

いまさらという感じもありますが,意表をつかれた受験者の方もおられたかも・・

ここでは他に「民事再生法」なども出題されていますが,決定的に変わってしまったのが「刑事法からの出題が消えたということ」。

1,2回目でしつこく出題されていた「犯罪収益移転防止法」がこの分野での出題として固定されているのかと思いきや,ここにきてあっさり消滅。

刑事法がゼロになり,完全に民事一色に。

この分野は問題のレベルアップもさることながら,何が出題されるか分からないという不安感を常に背負っていなければならず,非常に対策が練りづらいですね。

せっかく勉強してみても,その科目が出題されずに肩透かしを食らうということがありそうです。

早く宅建のように問題が固定されるとよいのですが・・

4回目がはたしてどうなることか・・・

       3 「資金需要者等の保護に関すること」

問題数は5問で配分は変わらず。

「個人情報保護法」がらみで2問出題。

どうやらこの科目は完全に固定。

しかもかなり重要視しているようで,4回目以降もまず,はずすことはなさそう。

それとこの分野は貸金業法が前回より2問も減りまして,出てきたのが「景表法」

前の分野の手形とならんで,忘れたころにやってきた1問という感じ。

ただこの景表法は宅建から流れ込んだ方に明らかに有利な問題となりました。

そのまま宅建で出題されてもまったく違和感のない問題でしたので・・

この問題を含めて5問中最低でも4問は取れたのでは?と思います。

レベル的には1,2回目とほとんど変わっていませんでした。

        4 「財務及び会計」

1回目から通算して明らかに変わったのがこの分野の3問

全3問とも過去問からではなく,ちょっとずれたところからの出題。

もうネタがなくなってきたのかもしれませんが,1,2回目よりも解きにくい問題でこのレベルになると前日だけでなんとかするということは難しくなりそうです。

4回目は相当入念に準備してかからないと取りこぼす可能性もありそうですね。

以上全分野を見渡してみて,はっきりとわかることがひとつ。

それは,

『今回(第3回目)の試験問題は,1,2回目とは違う時期に作られている』ということ。

問題全般的に,1,2回目とは色合いが決定的に異なっている。

1回目と2回目は難易度こそ違え(2回目の方が若干難しい)トータルの部分で共通したものを感じましたが,3回目だけは明らかに別枠。

思うに,これは本来1回目と2回目で合格者を確保し,3回目を前の2回で合格できなかった受験者を救済する,という目的のためだけの試験としていたために起きた現象であると思われます。

はじめから,この回だけ問題の質を変えて用意してあったのではないでしょうか?・・・

だからといって基準点は前2回と変わることはないと思います。

本来の3回目の試験での役割が4回目に移っただけでしょうね。

個人的には4回目の試験の問題に大変興味を持っていますが(おそらくこれから作る可能性もありそうで,本当に最後なので何でもありということも?・・)。

4回目を受験されることになるかもしれないという方,あるいは4回目をはじめて受けてみようという気持ちの方。

流れ的に,問題の難易度や合格率なども劇的に変わってしまう可能性もありますので,今から十分な覚悟で臨まれた方がいいかもしれません。

以上長くなりましたが,今回は「第3回貸金試験の総括」でした。

次回は「宅建」をやりたいと思います。