小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

フォトジャーナリスト豊田直巳さんの講演

2019-05-20 | つぶやき
クレヨンハウスで毎月開催されている落合恵子さん主催の
「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」5月の講演者は、
フォトジャーナリストの豊田直巳さんだった。

豊田さんの共同監督作品『遺言 原発さえなければ』を観ていたし、
現在でもいまだ「福島で奪われているもの」をテーマにした講演を
お聞きしたいと思って出席したのだった。

講演は、1995、96年に沖縄県久米島町の鳥島で起こった
米軍の劣化ウラン弾誤射事故の話から始まった。

米軍は兵士の被ばくを恐れて、少なくとも2010年9月まで
鳥島での通常の環境調査をしていなかったことが分かったと、
今年5月8日に沖縄タイムスで報道されたそうだが、
それさえ知りませんでした。

日本政府は当時の劣化ウラン弾誤射事故を
「鳥島に立ち入っても影響は小さい」と説明していたそうで、
毎度の「ただちに健康被害はでない」とか
「ただちに影響はない」という、あの説明に一貫していたらしい。

でも、米軍は把握していたのでしょう、
1991年の湾岸戦争で使用した劣化ウラン弾の健康被害の状況を。
だから、劣化ウラン弾をばらまいてしまった後、
鳥島に寄りつかなかったのでしょう。

1,500から1,600発ばらまかれ、900発くらいは回収したが、
あとは海の藻屑と化したわけで、
鳥島は無人島だからいいというわけじゃなく、
大切な漁場である海が汚染されてしまったことになると、
豊田さんは指摘しました。

それから、劣化ウラン弾によって傷ついたイラクの
人々、子どもたち状況を写真で説明してくれた。
続いて、震災直後、フクイチ事故後に入った浪江町の写真。
そこには、宮城県や岩手県なら
そのままにされるはずのなかったご遺体が写っていた。

豊田さんはイラク戦争やチェルノブイリでの取材経験も豊富だ。
そんな豊田さんが「放射能の恐ろしさを分かっていながら
原発の危険性を知っていながら、こうなることを
止めることができなかった」と言って言葉を詰まらせた時、
(別に彼は泣いたわけじゃないのだけど)
もらい泣きしそうになってしまった。

原発事故後の福島の状況を見て「無知で無関心すぎた」と
自分を恥じた当時の思いが、鮮明によみがえってきた。

原発で被災した地域に足繁く通い、豊田さんが役場や住民から取材した
数々の情報は、新聞やテレビで報道されないことばかり。

いかにきれいに取り繕われた復興の様子が報道されていることか、
被災地の復興の名のもとに誘致した
2020年開催予定の東京オリンピックが、現実の復興の足を引っ張り、
どれほど張りぼての看板になっていることか……。

福島の人々が「奪われた」と訴えている“ふるさと”とは、
単に大地、地面のことではないんだよね。

伝えられた事実に息が詰まりそうだった。

そんななか、今年の第66回産経児童出版文化賞の大賞に、
震災後の福島県飯舘村を約6年にわたって記録した
豊田さんの写真絵本3部作が選ばれたことは明るい話題のひとつ。

落合さんが「全国の図書館に置かれることを願っているので、
ぜひ購入希望を出してください」と呼びかけていたので、
(個々にも「買ってくださ~い」と言いたいところでしょうが)
市立図書館に資料本を返却しに行ったついでに、蔵書検索してみた。

すると『それでも「ふるさと」』3作品のうち2作品、
『「負けてられねぇ」と今日も畑に』と
『「牛が消えた村」で種をまく』が収蔵されていた。

  

2冊を早速借りて、もう1作品の『「孫たちは帰らない」けれど』の
購入希望を提出してきた。

     
農山漁村文化協会発行、各2,000円    5月20日の東京新聞朝刊の広告

下の『福島「復興」に奪われる村』は書店に注文した。
多分、朝の教室での講演内容が盛り込まれていると思う。


岩波ブックレット、907円

ちなみに、「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」6月の講演者は、
監禁されていたシリアから無事帰国したジャーナリストの安田純平さん。
演題は「中東問題と自己責任の日本社会」だそうです。

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