小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

ゼンヨージ画伯の個展

2014-04-22 | つぶやき
 終わってからの宣伝なんて間抜けだけれど、私の野外料理本や犬本のイラストや装丁をしてくれたゼンヨージ画伯こと、善養寺ススムくんの作品が4月1日から今日22日まで、新宿伊勢丹本館2Fグローバルクローゼットのアートギャラリースペースを飾っていた。私は昨日見に行った。


 始まる前とか、始まってまもなくに宣伝してあげるのが友情というものであろうに、うかうかしてしまった。なので「ごめんなさい」の気持ちを込めて、ゼンちゃんのプロフィールや絵本のページについて、ここに宣伝しておくことにした。

 ゼンちゃんが運営している合同会社入谷のわきの発表によると、彼のプロフィールは、

 2007年まで、雑誌アートディレクター、イラストレーターとして活躍し、その後江戸文化と日本人の心の研究をはじめる。
 江戸260年の平和に育まれた「江戸の間思考」が日本人の考え方に大きく影響していると提唱、研究のメインテーマにする。2010年より江戸関連書籍の執筆活動をし、『江戸の用語辞典』『江戸の町とくらし図鑑』『江戸の人物事典』『カジュアル着物ブック』『東海道中栗毛弥次馬と江戸の旅』を出版。文章だけでなく、イラスト、デザイン、編集も行う。
 一方で「キャラクター・ブランディング」をはじめ、Afternoon Tea、House of Lotus等とストーリーのあるキャラクター商品をつくる。
 江戸時代と現代、和文化と西洋文化、歴史とファンタジーの多面的な交差点に位置する作家。

 
 
 ということであります。

 ゼンちゃんは私が制作に携わっていた『カヌーライフ』のアートディレクターとしてデザインをすべて担当してくれていた。
 当時、制作費が乏しく、デザインを外注にお願いできず、私がレイアウトしていたのだけど「もっとカッコいいデザインのカヌー雑誌にしてあげます!」と名乗りをあげてくれたのが、ゼンちゃんだったのだ。

 決して高くないギャラで、本当にカッコいい誌面を作ってくれ、感謝の気持ちでいっぱいだった。ブナが逝った時もクリが逝った時も、追悼の癒しの絵を贈ってくれた。ジ~ン。

 今では江戸研究家になってしまったけれど、ステキな絵本の原画もたくさん描いている。彼の絵本への思いは次のとおり。

「江戸の研究と供に《大人の絵本》を主に制作しています。一見子供向けのお話のようで、実は大人だからこそ共感し、人生を豊にできるような。そんな物語です。
 絵本というと《子供向け》というのが一般的ですが、今求められているのは、大人が共感する絵本ではないでしょうか? 自分が読みたいから買い、子供にも読んであげたいと思う。そんな世界を目指しています。
 また、日本のコンテンツは世界から注目されています。アニメ世代が大きくなり、日本とフランスくらいでしか、大人の絵本というカテゴリーはないと言われていますが、これからはどんどん増えてくるのではないでしょうか?

 子供にこだわらない。日本国内にこだわらない。絵本の中に閉じ込めない。新しい世界を模索しています。」

 ゼンちゃんが描いた絵本のサイトには、素晴らしい作品がいくつもアップされているので、ぜひご覧ください。
 http://www.zenyoji.com/index.html

 
 実は、繁殖犬のことをもっと知ってもらうために絵本を作りたいと相談したら、ゼンちゃんは「ご協力します」と男前の二つ返事でもって、絵本にするための原画を描いてくれたのだ。



 構成を一緒に考えてくれ、私が本文を仕上げ、ゼンちゃんは41に及ぶシーンを描いてくれた。これ、何とか世に出さないと!
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『うまれてないからまだしねない』を観た

2014-04-22 | つぶやき
 日曜日、範宙遊泳の新作公演『うまれてないからまだしねない』を観るために、池袋に出かけて行った。私が芝居を観るなんて! 何年ぶり?! 最後に観たのがいつだったかも忘れてしまった。

 つい勢いでチケットを予約したはいいが、今日活躍している若者たちのお芝居が、こんな私で分かるのか?と少々不安に思いつつ駅を降りると、スパイシーな香りが漂い、東京芸術劇場手前の広場に人が溢れていた。

 よく見るとサリーやクルター・パジャマを来たインド人がわんさかおり、ドンジャラドンジャラ大きな太鼓の音もして、たいそう騒がしい。いきなりニューデリーの町中に来てしまったような感じだった。どうやらインドフェアみたいのをやっているらしかった。

 あまりの人の多さとムンムンのインド的雰囲気に気圧されて、一瞬うちに帰りたくなったが、目的を達成せねばと思い、初めて東京芸術劇場に足を踏み入れたのだった。

 

 開場時間になって、シアターイーストの場内に案内されたのだけど、お芝居を観慣れていない私は、どの辺りに座ればよいかも分からず、うろうろしてしまった。すると、少し年配の女性2人が「映画じゃなくて“生”だから前のほうがいいわよ!」と口々に言い合い、のしのしと私を追い越して行った。そうなのか……、“生”だからね。
 真正面の席は人で埋まりつつあったので、とりあえずその右側の、何かあった時に逃げやすい(?)通路に面した席に座った。

 開演までの30分くらい、私はその席で何度もグラグラ揺れていた。

 というのも、私の真横通路の階段の幅と高さが急に変わるらしく、ほとんどの人がそこでつまずいてバタつくからであった。たいていみんな空いている席を目で探しながら階段を下りてくるので、足元を見ていないのだ。
 つまずいてバタバタっと音を立てて、転ばぬように体を立て直すので、そのたびに私の椅子は、その振動でものすごく揺れた。こうして私は揺れながら開演を待った。

 場内が暗くなり、最初に出て来た男の子がゆっくり舞台(といっても、高さも広さもそれほどなく、手を伸ばせば「すぐそこ」という近さ)を歩きながら、シチュエーション(「ここは某というアパートで」といった)を軽く説明するのだけど、この男の子、実はゴキブリだったのだ。

 シュールなシーンもいっぱいで、ワクワクした。説明的でちょっと臭いなと思ったセリフもあったけれど、全体的に詩を観ているようで、とても面白かった。老人が膨らんで風船になって浮かぶという設定なんて、現代社会を象徴していて、怖いくらいステキだった。

 文字や映像を組み合わせたお芝居を初めて観た。最初は「へえ~」と思ったけれど、効果的に使われていて、違和感もなく楽しめた気がする。老成した演出家が創ったものではなく、だからといって尖がっているわけではなくて、瑞々しく、さらりと深いところを突いてくるような、冷めた強いエネルギーを感じたお芝居だった。

 
 米国のノンフィクション作家であるレベッカ・ソルニット氏が著した『災害ユートピア』は、
・災害時になぜ人々は無償の行為を行うのか、
・なぜ混乱の最中に人々は秩序立った動きができるのか、
・なぜ災害が起きるとエリートはパニックを起こすのか、
・市民ではなく軍隊や警察官が犯罪行為を犯すのはなぜか、
・地震のあとニカラグアで革命へと突き進んだのはなぜか、
 という5つのなぜを明らかにするために、同時多発テロを含むいくつかの災害を詳しく検証した1冊である。

『災害ユートピア』
なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか
レベッカ・ソルニット(著)・高月園子(翻訳)
亜紀書房(2010年)/2,500円+税

 ちょうどその『災害ユートピア』を読んでいる最中だったので、『うまれてないからまだしねない』で描かれた隕石衝突や大洪水による人々の心理描写などが、余計に興味深く響いた。

 演劇というと、声を張って「演技してます」風なイメージだったのだけど(どんな芝居を観てきたんだ?)役者さんたちはいきむことなく、ごくごく自然な演技で、普通に電車の中でしゃべっている若者たちを眺めているような感じだったなあ。不自然な動きがなくて、発声などの基礎をきちんとしてきた人たちなんだろうなと思った。

 風船とうさんの娘役の役者さんの声が深くてどっしりとして、よく通るいい声だった。いい味、出してたなあ。

 個人的には、最後が少し拍子抜けというか、時間軸を越えて登場してくる夫婦の最後の言葉は必要ないような、スクリーンに映し出された文字だけでいいようにも思ったけれど、全体的にはすっごく面白いお芝居でした。観劇後用事があり、演出家の山本卓卓さんが登場するアフタートークは聞けなかったが、想像していたよりはるかに楽しめた。もう1回観てもいいなあと思うくらいに。
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