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中国の反日デモを見ていると未だに毛沢東の肖像画を掲げて行進している奇特な人が大勢いることに驚かさせられる。
なぜなら、毛沢東は20世紀に於けるヒトラーに並ぶ独裁者であり、虐殺者だからだ。

毛沢東は共産党を率いて日本軍と戦ったことになっている。
少なくとも中国の歴史書や映画を見ている限り、こっちもそう信じてしまうようなところがある。
ところが日本軍は第二次世界大戦中は蒋介石率いる国民党政府と戦っていたのであって、毛沢東率いる共産党ではなかった。
もっと言えば、当時中国には政府らしいい政府もなく、群雄割拠。
軍閥と山賊の入り乱れる謂わば戦国時代のような様相だったのだ。
国民党も共産党もその無頼の徒の1グループに過ぎず、ちょうど国連軍が軍閥相手に苦戦しているソマリアに似ている。

この混沌とした中国で毛沢東は何をやっていたかというと、人殺しをやっていた。
仲間を募って徒党を組む。
組んで反逆すれば粛清する。
仲間は粛清を恐れて毛沢東に跪き、その関係は毛が死ぬまで続けられた。
例えば戦後直ぐ。
腹心の仲間であった林彪を暗殺し、その暗殺を恐れた周恩来は犬のうように生涯を通りして毛に対して媚へつらった。

腹心に対してこうなのだから、国民に対しても容赦はない。

1950年代。
大躍進と称して計画経済を実行して大失敗。
メチャクチャな計画で農業が頓挫し、大規模な不作に至った。
その結果餓死者と粛清された物の数は5000万人に及んでいると言われている。
その大躍進に反省したかというと、そうではなかった。
1970年代。
文化大革命という文化破壊を実行し、大躍進政策を上回る国民を死に追いやった。

このあたりの歴史は「毛沢東の私生活」(文春文庫)、「周恩来秘録」(文春文庫)に詳しい。

古今東西、独裁者や虐殺者は少なくない。
ヒトラー、ムッソリーニ、ナポレオン、スターリン、毛沢東、ポルポト、金日成などなど。
しかし、自分と同じ国民で同じ民族を大量虐殺したのは毛沢東、ポルポト、金日成だ。
そしてこの三人の共通点は、といえば毛沢東その人と毛沢東主義者であるということだ。

毛の思想は民族粛清にあり、しかも自らの民族を死に追いやる危険性を秘めている。

翻って反日デモ。
中国を主張するのに毛沢東の肖像画を掲げるということは、どいうことか。
「日本を毛沢東主義で粉砕するぞ!」
ということなのか、
「デモに参加しない良識ある中国人は粛清するぞ!」
ということなのか。

いずれにしても大国の国民のすることではないわけで、
「なんなの、あの人たち?」
と世界に疑問符を抱かせたことは間違いない。

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