<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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NHKの朝の連続テレビ小説「カーネーション」を初回からほとんど視聴している。
私にとって朝ドラを初回からほぼ全エピソード見ているというのは、学生の頃に放送されていた「おしん」の前半以来、久しぶりのことだ。

そもそも私は連続ドラマがあまりお気に入りではなく、最近は大河ドラマもつまんないのであまり見なくなってしまっていた。
一昨年の「龍馬伝」は最初の数話を「おもろいやん」と鑑賞していたのだったが、だんだん内容に無理が出てくると共に、あまりに史実から逸脱し、しかも仕事が急激に忙しくなってきて、日曜夜とはいっても家にいないことが多くなり番組を見逃しているうちに、すっかり興味が失せてしまったのであった。

今回の「カーネーション」は私の生活圏を舞台にしたドラマだけに嫁さんから、
「しっかり一緒に見よや」
と見ることを強制されたために、継続して見ることになっていたのだ。

しかし、その継続は今回に限っては、なかなかポジティブな結果として現れたのであった。

「カーネーション」は今のところは結構面白い喜劇として受け入れることができちるドラマなのだ。

服飾デザイナーの小篠綾子をモデルにした主人公がこれまた面白い。
女性ながらに戦前から店を持ち、商売をし、次々とチャレンジしていく様は、浪速のど根性的な物語だ。
ストーリーそのものは結構重いものがテーマになっているにもかかわらず、危機的シーンも笑って見ていることのできる上質な喜劇に仕上がっているのだ。

戦前の話は純粋に喜劇的で、明るいストーリーが特長だった。
このまま、戦中戦後に入るとどうなるのだろう、と心配になってくるぐらい明るいドラマ作りが魅力的だった。
NHKドラマの特長は戦中はかならず、「暗~い、言論統制と、住民圧迫と非民主主義の異常時代」と描きたがるのだが、このドラマはそんな私の心配もよそに、戦中期の重い雰囲気も笑いと涙で見事に描ききっていたのだった。

最近はメロドラマ的な面が少々気になっていたが、昨日の話をさっきみたところ、これもまた人生の重さを涙と笑いでサッと切りをつけて見るものに爽やかさを残していた。

総合してみると、このドラマは花登筺の「どてらいヤツ」の女性版といえ無くもないような気がしていた。
脚本家は新進の女性作家だというのだが、セリフの運びといい、見る者の心の掴み方といい、まったく花登筺を意識していないとは言えないのではないか、というくらい「大阪のドラマ」になっているのだ。

最近のニュースでドラマの終盤、老境の主人公を加賀まりこが演じるということが報道されていたようだが、今演じている尾野真千子が素晴らしい演技をしているだけに、ドラマを楽しんでいる視聴者からしてみると、最後まで特殊メイクでもして演じていただきたかったと思うのであった。

ドラマはあと3ヶ月。

これからどう展開していくのか、メチャクチャ楽しみな、連続ドラマなのであった。


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