<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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年末年始の映画で「ミッション・インポッシブル」以外にとっても気になっていた映画「ニューイヤーズ・イブ」は期待以上の爽やかな映画だった。
ミッション・インポッシブルの刺激が強すぎる人には、この映画はベストなオススメだ。

舞台はニューヨーク。

ニューヨークを舞台にした映画はウッディ・アレンやニール・サイモンの作品のようにセンスの良いものが少なくない。
「マンハッタン」
「アニー・ホール」
「グッバイガール」
「裸足で散歩」
などなど。

それはニューヨークという大都会が持つ、独特の雰囲気が醸しだすマジックなのだと思っている。

「ニューイヤーズ・イブ」もそういった都会のひとコマにスポットを当てた小品だったが、センスがめちゃくちゃナイスな映画なのであった。
事前の大きな宣伝もなかったので、話題作でもないのだが、出演しているキャストがすごかった。

ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、サラ・ジェシカ・パーカー、ヒラリー・スワンク、ザック・エフロン、ボンジョビ、アビゲイル・ブレスリンなどなど。

アカデミー賞級のキャスティングにもかかわらず片意地はらずにスラっとライトに、でも爽やかでしっとりと見せている演出は「プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャルだ。
映画ファンである私だが、ゲイリー・マーシャルがあの往年の人気TVシリーズ「ハッピーデイズ」の監督であったことなど、この映画のパンフを買うまでちっとも知らなかった。
今や映画監督として著名なロン・ハワードが生真面目高校生リッチーを演じていた「ハッピーデイズ」は30分のコメディだったが、60年代を舞台にしたセンスのいい青春ファミリードラマだった。

私は高校生の時にKBS京都で放送されていたものを毎週楽しみに見ていたものだった。
当時、ビデオデッキはまだまだ一般的ではなく、オンエアを見なければ見ることが出来なかったので、若干のノイズの入ったKBS京都の画面を(私は大阪に住んでいたのでノイズがあった)食い入るように見ていたのだ。

そのセンスそのままに、今回は豪華キャストで複数の物語を同時進行させるという、いわゆるグランドホテル形式のドラマなのであったが、かなり完成度の高いものに仕上がっていたのだった。
大ベテランのマーシャルの技量が遺憾なく発揮されたわけだ。

この映画ではすべてのキャストの魅力が輝いていたのだったが、私にはとりわけザック・エフロンとアビゲイル・ブレスリンが印象に残った。

ザック・エフロンはさわやかなメールボーイの青年を演じていたが、最初エフロンとは気づかず、
「随分、爽やかでいい役者さんだな」
と思っていた。
しかしその機敏でリズミカルな動きを見ていると、
「お、これはヘアスプレーのザック・エフロンや。しかも「ハイスクール・ミュージカル」からは完全に脱皮しているええ俳優になってるやん」
と思わず感想を漏らしたのであった。
そしてアビゲイル・ブレスリンは「ミス・リトル・サンシャイン」のあの少女が、どこにでもいる普通の女子高生を演じているのを見て、
「ん~、時間の経過は早いもんや」
と感無量になってしまったのであった。

それにしても、小さな名作。
そんなにお客さんは入っていなかったし、題名が「ニューイヤーズ・イブ」なので、見たい人は劇場へ急ぐことを、断然お勧めしたい映画なのであった。

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