<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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「ハックショイ~ン!」
と誰かがクシャミをしたら、
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
と、ふざけているのは、もはや我が家だけなのかもわからない。

今や街中にマスク姿が溢れている。
ヒコーキの中。
電車の中。
バスの中。
会社の中。
繁華街。
得意先のお茶OL。
アイスクリーム屋さんの店員。
などなど。

あまりに多すぎてなんの違和感も無いみたいだ。
その為に、ちょっとしたクシャミや咳払いもやりずらい雰囲気がそこら中に広まっている。

ちょっとクシャミをしただけで鳥インフルエンザかSARSかと疑われるのだ。

中学生ぐらいの頃だったか、風邪の流行っている時期を狙って東京駅あたりで撮影されたマスクを付けた通勤客の姿の写真に、
「空気が汚れてマスクをしなければ生活できない日本の現状」
という報道をした外国メディアがあって大騒ぎになったことがあったけれども、それと比べても今のそれは異常だと思うのだ。

ジェニファー・アッカーマン著「かぜの科学」(早川書房)によると風邪のウィルスに感染することは「避けたがよかろう」ということがある反面、人間の免疫系強化には「不可欠な側面」が存在することが知るさせれていた。

人は一年に最低一度は風邪を引くそうだが、症状の出る人と出ない人がいる。
その原因は今のところ不明なのだというが、例えばその時の精神のコンディションによっても大きく異なるというのだから、人と風邪のメカニズムは不思議なのだ。
さらにもっと不思議なのは「一般的な風邪」であるライノウィルスに感染して症状が出ていると、致死率の高い恐ろしいインフルエンザには感染しないということだ。

風邪の原因になるウィルスは十数種類あるのだそうだが、症状が出るかでないかは運次第。
「私は風邪なんか引いたことはありません」と言う人の血液検査をしてみるとたいてい抗体が存在していて風邪ウィルスに感染したことがあることを示すのだという。
風邪ウィルスの抗体を持っていないと、悪影響が生じることもあるようで、風邪がポリオのように絶滅してしまうと恐ろしい事になるかも知れない、と言う推測は実に恐ろしいのであった。
つまり、風邪というのは人類にとって成長や健康維持になくてはならない悪友のようなものなのかも知れないと思った。

風邪に関する様々なエピソードがちりばめられており、医学的な知識が少なくても「ふーん、なるほど」と楽しむことが出来る一冊なのであった。

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