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すこしばかり白状すると、小学校3~4年生だった頃、私は阪神タイガースファンではなく、実は阪急ブレーブスのファンなのであった。

私の生まれ育ったのは大阪堺市。
どちらかというと堺市は南海沿線なので南海ファンになるのが自然な成り行きだったのにも関わらず、なぜか阪急ファンになってたのだ。
いつも乗る電車が国鉄の阪和線だったので南海電車に特別な親近感が無かったからでは、もちろんない。
たまたまクラスの仲の良い友達が阪急ファンであったために、それにつられて一緒に応援していたというのがホントのところだった。
だから西宮球場まで足を運んで阪急の応援をしたということは、一度もなかった。

その後、父が毎朝通勤の時に自動車の中で聴いていた「おはようパーソナリティ中村鋭一」を夏休みに一緒に聴くことになったために、阪神ファンにくら替えした。
それほど安易な阪急ファンなのであった。
ま、阪神ファンとしては未だに続いているわけだから、やはりチームの基礎魅力が違うのかも知れなかった。

それはそうとて、大阪市営地下鉄の駅にオリックスバファローズが期間限定で「阪急ブレーブスのユニフォームで試合します」というポスターが貼られていた。
「H」のマークが目に眩しい阪急ブレーブスのベースボールキャップ。
小学生の頃、阪急を少しだけ応援していた頃を思い出した。

ポスターには「王者ふたたび」と書かれており、「バファローズの原型であったブレーブスのユニフォームで」、という記述を見たら、それは違うやろ、と思わず心のなかで突っ込んでいたのであった。
それに本当のブレーブスファンやバファローズファンがなんとなく気の毒になってしまったのだ。
今更書く必要はないけれども、オリックスバファローズはオリックス・ブルーウェーブと近鉄バファローズを足して二で割って誕生したチームだ。
その誕生の際に余った部分から誕生したのが楽天ゴールデンイーグルスなわけだからオリックス・バファローズの原点が阪急ブレーブスだとか言われても「あ、そうですか」と素直に頷くことはなかなかできない。
近鉄バファローズファンだった会社の某君によると「あれはバファローズはバファローズですけど別物ですし」と応援するチームが亡くなってしまった悲哀を未だに感じさせるコメントしか出てこない。
そんなこんなで、オリックスが阪急の後継チームだと素直に認められない部分がある。

それに南海ホークスが福岡ホークスに変わって大阪から去っていたとき、多くのファンが名残を惜しんだ。
なんといっても南海ホークスはシーズン途中の早い段階で「今季限り」が宣言され、ダイエーという大阪の会社が買い取って福岡へ移転することが分かっていた。
プロ野球チームがあっておかしくない福岡に行くのだから、愛されるチームになるだろうと、きっと南海ファンのある意味、心に区切りをつけることができたの違いない。
だから今も尚、福岡オークスは大阪では阪神タイガースに次ぐ人気チームであることには変わりはない。

ところがホークスが南海としての最後の年を迎えたとき、阪急は唐突にブレーブスの売却を発表した。
しかも買い手はみんなが嫌いな金融業者。
ホークスが惜しまれながら大阪から福岡に行ったのとは対照的に、ブレーブスはファンが気づかないうちに阪急からオリックスに売られてしまった。
ファンの気持は論外だった。

そんなオリックス・バファローズが阪急ブレーブスのユニフォームを身に纏って「うちのチームの原点です」と云われても、なんとなくしっくりこないのがポスターの感想なのであった。

ともあれ、今週末から阪急ブレーブスのユニフォームが復活する。

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