今日は、日経平均は、下げて始まりましたが、午後になって少し上げているようです。
いずれにしても日経平均40000円などというのは、当面、夢になったようです。
7月10日前後には40000円を越えていました。これはバブルだ、いやまだバブルではない、といった論争もあったようです。
考えてみればあの時も、いずれ、早晩アメリカは政策金利の引き下げをするでしょうし、日本は引き上げをするでしょうという事は、みんな知っていたのでしょう。
でも、それが何時になるか解らないから,その間日本の1ドルが160円近い円安、を利用して、キャピタルゲインを稼ごうという国際投機資本が、40000円以上の日経平均を作っていたのでしょう。
実体経済を担当する企業の経営者たちは、今年度下期の円レートは141円(日銀短観)と回答(平均値)していましたから,いずれ円高になるし、輸出企業の大幅増益もなくなり、日経平均も上がり続けないだろうと見ていたでしょう。
そうした中では、余程の目利きでないと先を誤るようで、これは財務省なども同じのようです。
あの頃の財務省の心配は、このまま円安が続けば、輸入物価が上がり、安定してきた消費者物価も上がって、2%インフレ目標の達成も危ない、実質賃金低下で政府の評判も悪い、円安を止めないとまずいと判断し為替介入に踏み切ります。
タイミングの検討、アメリの理解も必要、など万般を考慮し、数兆円を使って、ドル売り、円買いの介入を成功させます。
しかし効果は限られていて、現実の結果は数円の円安程度で、時には2~3日でまた戻ってしまうようですが、確かに、国際投機資本を驚かす効果はあるのです。
介入の効果というのは、国際投機資本が自分でもやり過ぎと思いながら相場を作っているような場合には、効果を持つでしょうが、安全なマネーゲームをしていると思っている時は大きな効果は期待できないでしょう。
ところがその直後、日銀が、短期金利の0.25%への利上げに踏み切りました。日銀総裁は、マネー市場にできるだけショックを与えないような範囲で微調整というニュアンスの発表の仕方のようでした。
しかしマネー市場の受けたショックは激甚だったようです。これはマネーゲームの枠の変更ですから、枠をはみ出した取引は成り立たなくなります。それにさらに引き上げもありそうという思惑が働き円レートは今の144円辺り、日経平均は、戻っても38000円台という状態です。
今回の経験は、為替レートを決定的に変えるのは政策金利水準の動き(具体的には日米の金利差)だという事を明示的に教えてくれました。
そして、為替レートの変化は企業収益に影響し、株価(日経平均)を動かすという関連の具体例も見せてくれました。
明らかになったことは、中央銀行の決定する政策金利は、その国の経済の安定した成長の実現のためのものですが、しかしそれは為替レートへ確実に影響するという事です。
金利政策は、為替介入より的確な、為替レート変更の手段なのです。
ということで、残る疑問は、日本の場合、円安が行き過ぎて困ったとき、財務省は、アメリカに相談したとのことですが、日銀との相談はどうだったのでしょうか。そういうことは秘守事項で、公に出来ないのでしょうか。