tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

コーポレートガバナンスと労働組合・労使協議制

2015年07月27日 09時27分27秒 | 経営
コーポレートガバナンスと労働組合・労使協議制
 テレビのニュースやその解説で東芝の不正経理の問題を取り上げているのを見るたびに、心が痛みます。当期利益のために、経費の先送り、利益の先食い、そして、経営トップが「こういう指示をした」などなど・・・。

 日本のトップ企業の中でも、ここまで短期的視点の経営が浸透してしまったのか、本来の日本的経営の真髄である「長期的視点の経営」は何処に行ってしまったのか。かつて東芝は「中期経営計画」で名を馳せたことがあったと記憶します。

 こうした際に、マスコミではコーポレート・ガバナンスといった外来語しか使いません。解説者ににも「長期的視点の経営を忘れたのか」などという人はいません。
 そして、対策としても、「社外重役をきちんと活用せよ」とか、株主に対する責任を果たすシステムとかが強調されています。

 このブログで繰り返しています「長期的視点に立った経営」「人間中心の経営」といった本来の日本的経営の立場から見れば、もう少し多様な視点があってしかるべきだと感じます、マスコミや、解説者も、日本的経営を忘れていまっているのでしょうか。

 日本的経営の視点では、企業は人間集団です。そして企業の将来はその集団を構成する人間の意識次第です。カネは企業における人間の活動をしやすくさせる「肥料」や「潤滑油」のようなもので、主役ではありません。主役は人間です。

 こうした企業の本来の意義を忘れて、カネを出してくれる株主の事ばかり考えているのが、最近の近視眼的経営でしょう。
 そして、株主自体が、企業の成長発展を応援するために株を持つのではなく、「値上がりしたら売る」ために株を持っているというのがマネー資本主義の世界です。(アメリカの東芝株主の訴訟行動をみて下さい)

 法律的には企業は株主のものかもしれませんが社会(学)的には企業を構成する「人間と資本の有機的結合」が企業でしょう。これを動かすのはすべて構成する人間の知恵なのです。その力で企業は社会を「より豊かで快適なもの」にしているのです。

 しかも、日本の多くの企業には、企業別労働組合があります。組合が無くても、かつては世界に誇った「労使協議制」がありました。
 社外重役も良い制度でしょう。しかし、自分の職場を知り尽くした従業員との『話し合いのシステム』としての、経営者と労組あるいは従業員代表との労使交渉、労使協議制の活用によるチェック&バランスのシステムの構築といった、本来の日本的経営の知恵を日本の企業が忘れてしまったとすれば、余りに勿体ないのではなしでしょうか。

 労働組合にも、経営者と相対し、より良い産業・企業活動の片翼を担うものといった従来の役割、それを果す気概を改めて期待したいと思います。


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