tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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黒田総裁から植田総裁へ、苦難は続く?

2023年02月15日 22時12分00秒 | 経済
国会の議論の中で、岸田総理から植田総裁を選んだ理由の説明などもあったようで、、いよいよ黒田日銀から植田日銀の線がはっきりしてきたようです。

大蔵省や金融界からでなく、学者が日銀総裁になるというのは初めてのようで、それだけ植田総裁への期待は総理大臣をはじめとして大きいのでしょう。

前白川総裁から黒田総裁の時は、在米経済学者のアドバイスなどもあったようで、日銀もバーナンキ流の大幅金融緩和に踏み切るという予想があり、それがそのまま現実になって、2年を経ずして円レートは75円から120円に大幅円安になるという華々しい登場でした。

有難い事に、アメリカもバーナンキ流の踏襲ですから、日本は大幅円安にして怪しからんとは言わず、アベノミクスは順調なスタートと思われました。

その後は皆様ご承知の通りですが、今回はそうした華々しい金融政策の成果といった事は期待できないようです。

というのも、今の日本経済として、金融政策で直ぐに何とかなるといった問題は、どうも見当たらないという事だからです。

円レートは130円がらみで、これはかなり円安色の強い状態ですから、これ以上円安にするわけにもいかないでしょうし、ならば120円から100円の方に円高政策をとると日本政府や経済界からブーイングが出そうです。

大体今の為替レートが円安に振れたのはアメリカが急激な金利の引き上げをやったからです。アメリカは大幅利上げでインフレ鎮静化に成功しつつありますが、そのとばっちりで日本は円安になり、輸入インフレが一層激化して消費者物価上昇が4%越えです。

これを何とかしろと言われても、「じゃ、日本も金利を引き上げましょう」という訳にはいきません。国債金利が上がったら、巨額借金を背負う政府は、早速予算組み替えに迫られます。

賃金を上げてインフレにしようと政府も一生懸命ですが、これは日銀の仕事ではありません。金融を緩めればインフレになるという古い金融理論は日本では疾うに破綻しています。

マスコミでは「結局当分黒田路線の継承か」などと書いていますが、政府は何を新総裁に期待しているのでしょうか。

結局日本はアメリカの金融政策次第で、円レートが動くという運命にあり、その円レートはアメリカ流マネーエコノミーで変動幅は異常に大きくなり、国際投機資本にキャピタルゲンを提供する役割に回っているようです。

円レートが大幅に動くという事は日本の経済価値の基準が、アメリカの都合で伸びたり縮んだりする事ですから、国家予算も企業の経営計画もきちんとできる筈がないのです。

黒田さんは華々しく登場しましたが、ここに来てアメリカに振り回されることになり、政府に頼まれたやった金融緩和路線が金融政策の失敗のよう言われるという不運な結果だったように思います。

結局はアベノミクスの期間に日本経済に(1970年代~80年代のような)欧米経済が混乱しても何とか安定出来るような経済力をつけることに失敗したという経済政策の結果が現在という事なのでしょう。

植田新総裁は経済学者ですから、そのあたりの事は良くお解りでしょうから、金融政策だけでなく政府の経済政策にも『最大の貸し手(国債保有者)』として思い切って発言し、日本経済のあり方に総合的なアドバイスをいただければ国民は喜ぶと思います。」

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