tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

万策尽きる日銀金融政策

2021年03月20日 15時13分32秒 | 経済
万策尽きる日銀金融政策
 昨日の金融政策決定会合で、日銀は金融政策のマイナー・チェンジをやったという事でしょうか。
報道によれば、ETFの購入年6兆円を撤廃、最大限12兆円だけ残す(政策の機動性を高めるため)、ETF をTOPICS 連動のものにする(すべての上場株式を対象に)、長期金利をゼロ金利±2.5%(従来は2%程度と見られていたが明示していない)、銀行からの預金に対し上乗せ金利も可能にする(銀行救済策)などの金融政策の柔軟化などで、長期化する低金利政策の副作用を緩和するという説明と受け取ったところです。

 黒田総裁はいつものニコニコ顔で、柔軟な金融政策が可能になったと説明されていました。
 黒田総裁は、いつも政府とともに決めた「2%インフレ目標」を達成するまでは金融緩和策を続けるという、基本的な日銀の態度表明を前提においていますが、今回もそれは変わりません。

 実は、この総裁就任以来達成されたことのない「2%インフレ目標達成までは」という基本方針(恒例の態度表明)は、何はともあれ一番大事だと私も考えています。
 というのは、いわばこの呪文によって、放置すればまた過度の円高に戻りかねない円レートを何とか現状の水準に保つことが可能になっていると思われるからです。

 もし円レートが1ドル100円を切り上げかつての90円80円に向けて円高になっていったら、日本経済は、また嘗ての円高不況にはまり込む可能性が必至だからです。

 はっきり言って、アベノミクス以来の日本経済の回復も、今回の日経平均3万円越えも、少し大げさに言えば、日銀が常に「2%インフレ目標」を掲げ、異次元金融緩和路線を一貫して取っているからということではないでしょうか。

 1913~14年の 黒田バズーカ で、一時は120円までいった円安による経済回復を上手に活用して、日本経済の体質改善を行い、アメリカの喉から手が出るほど欲しい「万年黒字日本の巨大な金融資産」が増えないような日本経済(成長率を高めることで可能になる成長型の日本経済)にすることが必要だった(今でも必要)のです。

しかし政府の方は全く何も出來ずに、すべて日銀にお任せで、モリ、カケ、サクラと勝手なことばかり、菅総理は日経平均3万円達成を「目標の目標のまた目標だった」単純に大喜びといった漫画のような構図です。

 大きな責任だけを背負わされてた日銀には本当に「ご苦労さま」と言いたい所ですが、これでどこまでもつのかと心配になるところです。

 黒田総裁の知恵で何とかここまでもたせてきた日本経済ですが、これからも金融政策だけに任せておくというのでは、政府の役割は一体何かという事になりかねません。
 現状は世界中がコロナ対策一辺倒ですが、コロナ対策にばら撒かれた金は、経済停滞の中で投機資金に回ることが多いのではないでしょうか。
政府の役割は、当面コロナ対策という事になるのでしょうが、コロナも2年、3続くものではないでしょう。

 特に日本の場合、マネーゲームは不得意、実体経済の頑張りが中・長期的に日本経済の死命を制する国であるだけに、コロナの早期征圧、そしてコロナ後の日本経済の進むべき方法についての本格論議を、今のうちから進めておかなければならないのではないでしょうか。

 政治家も官僚も、身銭を切らずに飲み食いする事その隠蔽策にかまけている時ではないと思うのですが。