彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国の大学前期が始まり、8カ月ぶりに学生が大学に戻った❶―外国人教員はオンライン授業の継続

2020-09-24 16:59:46 | 滞在記

 2800余りの大学数と2400万人余りの学生数を擁する中国の大学は、今年1月10日頃から始まった1カ月間あまりの冬休み(春節休暇)で故郷に帰って以来、新型コロナウイルス感染拡大・パンデミックのため、8カ月間ほど学生たちも大学に戻ることはできなかった。このため2月中旬~7月中旬までの後期授業は全てオンラインで行われてきた。私たち外国人教員は中国に戻ることはできず、日本から時間割通りの日程でオンライン授業を行い、7月中旬からは夏休みとなっていた。

 9月7日頃から中国の多くの大学では前期(新学年)が開始された。私が勤める閩江大学では、9月7日からの1週間は、後期授業で単位を落とした学生たちの再試験期間、そして9月14日(月)から教室での授業が開始された。例年よりも10日間ほど遅い授業開始となった。学生たちは9月13日までには、ほぼ8カ月ぶりに大学構内に戻ってきて久しぶりの寮生活、大学生活を始めている。学生たちから聞くと、「故郷で大学に戻るためのPCR検査を受けて陰性であれば、その証明を携帯電話にインプットしてもらい、大学のある福州に向かいました」とのこと。

 大学の私たち外国人教員たちは、まだ中国に戻ることができない。中国政府は外国人の入国許可については経済活動を優先するために、まず外国企業(日系企業など)の駐在員の入国を段階的に認める措置をとってきている。大学の外国人教員や留学生たちはその次に入国認可をすることとなっているようだ。このため、9月14日から始まった前期授業は、私も日本からのオンライン授業を引き続き行うこととなった。これがいつまで続くかは現在のところ未定だ。(※前期いっぱい続く可能性もあり)   例年なら前期授業は3~4教科くらいを担当するが、オンライン授業はとても準備が大変なこともあり、今学期は2教科の担当となったのはありがたい。

 先週から授業が開始され、今週で2週目に入っている。担当教科の一つ「日本語会話3」は新2回生との授業。この新2回生と私はほとんど面識がなかった。2クラスで40人ほどの学生たち。授業は日本からのオンラインで開始しているが、ほとんど知らない学生たちとのオンライン授業はこれまた大変だ。彼らが1回生の時に担当した教員から各クラス写真を送信してもらい、先週の授業では名簿の名前と個々人の小さな写真を確かめ合うことをした。この授業(90分授業)が週に各クラス別に2回ずつあるので、90分×4回となる。2週目となったので私も学生たちも少し慣れてはきたが、お互いにとても緊張するスタートとなった。

 もう一つの担当教科「日本文学作品名編選読」は4回生の授業。この学年の学生たちは、彼らが2回生の時の「日本語会話3」「日本語会話4」、3回生の時の「日本概論」「日本文化論」の授業を行っていたので、みんなとは顔なじみ。オンライン授業であってもそれなりにリラックスして行うことができている。

 7月上旬に大学から、「9月からの新学期の担当で日本文学の授業も担当してください」と連絡があった。オンライン授業ではこの教科はとても難しいので、その理由も話しながら、「この教科はオンラインでは困難なので、他の中国人の先生で担当してください」と一旦は断ったのだが、「先生しかこの教科を担当できる人はいませんから、お願いします」と連絡があり、結局、担当が決まってしまった。この夏休み期間、この授業の準備に相当苦労した。

 オンラインで日本文学の授業をするために、ユーキャン出版事業部が通信販売をしている朗読CD『聞いて楽しむ 日本の名作CD16巻』『やさしく聞ける 日本の名作CD17巻』(いずれも原稿書籍付)を合わせて6万円で8月に購入した。これと同じものが中国福州の私のアパートにあるのだが、全く同じものの私費購入だ。出費が痛い。

 オンラインでの日本文学の授業は、パソコンに2つのUSBを差し込み、QQという中国版アプリ機能を駆使しながら、オンライン授業のパソコン画面上に、CD音声や原稿や学生たちとの音声通話やお互いの顔のリアル映像、そして扱う作品の作者解説など、同時に5個くらいのものを駆使しながら授業を進めている。このパソコン操作などの技術習得などが私にはとてもとても大変なことだった。ようやく授業に間に合ったというところだ。この授業は、4回生の2クラス別(40人ほど)に週に1回ずつ、90分×2回となる。

 15回の授業では、川端康成『※伊豆の踊子』『雪国』、谷崎潤一郎『※刺青』『春琴抄』、夏目漱石『こころ』『坊ちゃん』、中島敦『李陵』『山月記』、志賀直哉『※城崎にて』、森鴎外『※高瀬舟』『舞姫』、芥川龍之介『羅城門』『蜘蛛の糸』『杜子春』、松本清張『1年半待て』、東野圭吾『麒麟の翼』『さまよう刃』、宮沢賢治『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』、太宰治『人間失格』『走れメロス』、小泉八雲『怪談』、新実南吉『ごんぎつね』、葉山嘉樹(プロレタリア文学作家)『セメント樽の中の手紙』などの作家と作品についての講義をする。

 閩江大学が使用している日本文学の教科書『日本近現代文学選読』は、今私の手元にはなく中国のアパートにある。あまりいい教科書ではないので、作家や作品は私の方で選び講義をすることに毎年している。(※教科書には、上記作品のうち※印の4作品だけは掲載されている。日本語会話3の教科書も中国のアパートにあるので、日本に教科書コピーを送信してもらい授業準備をおこなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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