彦四郎の中国生活

中国滞在記

近代日本の美人画三大巨匠の一人「鏑木清方展」—「清く、潔く、うるはしく」三人の巨匠の画風

2022-07-15 12:27:20 | 滞在記

 7月7日の七夕の日が過ぎて季節は本格的な夏へ。娘の家にも願い事の短冊が笹の葉に何枚も付けられた、七夕飾りが飾られていた。鴨川に架かる三条大橋たもとの百日紅(サルスベリ)の花が美しい。近くにある寺には、蓮の花が開花し始めた。7月13日になり、蝉(せみ)がこの夏、初めて鳴き始めた。

 京都・出町柳駅近くの常林寺境内の萩(はぎ)の草木が成長、9月には開花させるだろう。境内の木槿(むくげ)の白い花が美しい。木槿は中国が原産で、平安時代には日本に伝わっている花、韓国の国花となっている。夏の訪れを告げてくれる花の一つだ。孫たちの通う幼稚園の園庭の棗(なつめ)の実も大きくなってきている。

 昨日7月14日は、祇園祭の宵々々山だった。17日の祇園祭(前祭)、山鉾巡行に向けての試運転「曳き始め」が行われてもいた。コロナ禍のため20・21年は中止となっていた山鉾巡行は3年ぶりの開催となるが、コロナ第7波が始まり、昨日にはすでに全国で10万人に迫る新規感染者が報告された。室町時代に京都庶民の「疫病退散」の願いなどを込めて始まった祇園祭だが、この第7波はこれまで以上の、とてつもない最大規模の感染拡大となりそうだ。8月中旬には1日の新規感染者150万人との試算もある。昨日で日本における感染者総数は1000万人を超えた。ほぼ10人に1人が感染したこととなる。第6波・7波のオミクロンコロナは、重症化率が低いのは幸いだが‥。

 5月27日から京都国立近代美術館で、「鏑木清方展」が開催されていた。鏑木(かぶらき)清方の没後50年の節目となる美術展。7月10日(日)の最終日、この美術展に行った。たくさんの人で館内はあふれていた。日本近現代の日本画壇で、「日本の美人画」画家の大家と言われる人が三人いる。上村松園(うえむらしょうえん・1875―1948)、伊東深水(いとうしんすい・1898—1972)、そして鏑木清方(1878―1972)だ。三人ともにそれぞれの画風があるが、私は鏑木と伊藤の画風が好きだ。(伊東は鏑木の門下生。伊藤の娘に女優の朝丘雪路がいる。)

 上村松園は京都を作画の拠点としたが、鏑木と伊東は東京を拠点としている。鏑木は美人画だけでなく、庶民の生活画もたくさん描いている。つまり、生活の中の女性画を。また、作家の泉鏡花や樋口一葉などの絵も描いている。『鏑木清方—清く潔く、うるはしく』(宮崎徹著)という本があるが、この3人が描く美人日本画の女性たちは、「清く、潔く、うるはしく」という感のある画風という点での共通点がある。

 3階の特別企画展「鏑木清方展」は全て撮影禁止なので写真はない。美人画といえば、竹下夢二の作品も好きだ。

 京都国立近代美術館の4階常設展会場では、「鏑木清方展」に応じた展示もされていて、たくさんの日本画や洋画が展示されていて見応えがあった。ここは撮影可能の絵画も多くあった。青木繁の「女の顔」、上村松園の「舞の支度」などなど。

 W・ユージン・スミスの1944年サイパンでの写真も心に残った。島内のジャングルを逃げる二人の子どもと祖母、収容所内での子どもたちの写真など‥。W・ユージン・スミスは、1960年代から70年代にかけて日本の九州・水俣に来て「水俣病患者」たちの写真をたくさん撮り、日本社会にその写真は大きな影響を与えた。私は、京都の大学に入学後、すぐにその水俣に行き1か月余りをそこで過ごした。W・ユージン・スミスの写真に影響を強く受けた日本人の1人だった。

 4階ロビーからは、平安神宮、京都市京セラ美術館、そして比叡山や丹波山系の山々が望める絶景がある。いつも孫の寛太と散歩に行く、吉田山界隈の金戒光明寺や真如堂なども目の前に見える。ロビーに「暮らしの気配—向井潤吉が描いた民家と生活」(向井潤吉アトリエ館)のポスターが貼られていた。東京の世田谷のアトリエ館で4/11~9/11までの5カ月間開催されているようだ。東京に行く機会あれば、ぜひに見ておきたい。

 夏の日差しがとても強いこの日、気温は35度の猛暑日。でもまだ、蝉の声は聞こえていなかった。向かいにある京都市京セラ美術館周辺の木陰でタバコを一服する。

 自宅近くの水田や畑からは、京都の二大聖山である愛宕山と比叡山がよく見える。イチジクの実が熟れ始めているものも。かぼちゃの黄色い花と、はや開花しているコスモスのピンクの花。水田の稲も大きく成長してきている。

 トウモロコシが実り始め、ほうずきも赤くなり、夏の花ウラジオラスが満開ともなってきた7月中旬。7月23日の二十四節気の「大暑」まであと1週間か‥。ウクライナでは、ロシア軍の侵略による今も戦争が続くこの夏‥。ウクライナ国の象徴的な花、「ひまわり」が日本でも開花し始めた。7月24日に、「キエフバレエ団」の日本公演の一つが平安神宮に隣接している「ロームシアター京都」で開催される。私の娘と京都寺田バレエ(キエフバレエ学校と姉妹校関係)に通っている5歳の孫(長女)がその公演を見に行くため、3歳以下で入場できない次女と長男は、私と妻が子守をすることとなった。