彦四郎の中国生活

中国滞在記

元信者語る「それだけ統一教会は人生を破壊します」安倍元首相暗殺事件の背景ほぼわかってきた

2022-07-17 07:23:07 | 滞在記

 7月8日に、安倍元首相が銃弾により暗殺されて今日で10日目となる。11日に、事件の背景にあり、安倍元首相殺害の動機となった統一教会(世界平和統一家庭連合)日本支部の田中富広会長が、事件との関りについての記者会見を行ったことにより、翌日12日より大手マスコミ・メディア各社も、統一教会の実態というものを報道するようになった。

 そのことにより、この事件の背後にある統一教会と山上徹也容疑者との関りや、統一教会を巡る山上容疑者の家庭崩壊、壮絶な人生がかなり明らかになってきた10日間でもあった。さらに、この統一教会というカルト宗教団体のもつ恐ろしさも‥。そして、それと60年以上にわたり関係を続けてきた自民党という政党の暗部も‥。しかし、大手メディア・マスコミは、この自民党、とりわけ岸信介元首相・安部晋太郎元幹事長(いずれも故人)、そして安倍晋三元首相と統一教会との長く深い相互依存関係の歴史については、残念ながら多くを報道しない。「山上徹也容疑者の安倍元首相への逆恨み」というような報道が、大手メディアでは一般的だ。

 大手テレビメディアでこの事件について、7月12日以降から今日に至るまで、かなり評価できる報道をしていたものが、私が視聴した報道番組では次の3つがあった。一つ目は、ABC(朝日放送)の「羽鳥慎一モーニングショー」、二つ目は同じくABCの「大下容子ワイドスクランブル」、そして三つ目は、日本テレビ系列の「日テレNEWS」。

 7月12日、「大下容子ワイドスクランブル」でまず、この事件の背後にある統一教会、そして安倍元首相との関連についても少し取り上げていた。コメンテーターの吉永みち子氏の「安倍元首相が、この統一教会とかなりの関りがあったことには疑問を感じます」と、勇気をもって、少しだが、言葉を抑えて言及していた。

 7月12日だったかと思うが、「日テレNEWS」も、この統一教会の実態、安倍元首相との関り、統一教会日本支部会長の会見に対する、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の批判会見などについて報道していた。

   7月13日、「羽鳥慎一モーニングショー」は、初めてこの事件の背後にある統一教会についてかなり詳しく報道をした。「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見のようすのポイントを伝えていた。弁護士連絡会の代表世話人山口広弁護士は「信者になった方々の財産は丸裸にされる」と話す。

 この弁護士連絡会の会見には、元女性会員(信者)の人が参加し統一教会というものや今回の事件に関して話していた。山口弁護士の隣には白いボード板か立てられ、顔が映らないように配慮されながら、その女性は次のようにも語っていた。「すべてが 家のことすべてが 統一教会の教えに従って変わっていきました」、「‥‥犯人のしたことに関しては、何一つ擁護することはないですし、正しいとも思っていません。ただ、人生を統一教会によって破壊された身としては、(犯人の行動を)理解できてしまうという苦しい心情があります。やったことについては私は間違っていると思いますが、それだけ統一教会は人生を破壊します‥」と。

 今回の事件の背景と本質は、この統一教会なるカルト教団、そしてその教団と60年以上にわたって深い関係を持ち続けた自民党の暗部にあるのだが、この元女性信者の語ることが、事件の本質をより分からせてくれる。「それだけ統一教会は人生を破壊します」と語られるような異常な反社会的宗教団体を、日本政府は認可し続け、関係をもち続けたのか‥。

 同報道番組には、弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士がコメンテーターとして出演。「統一教会(世界平和統一家庭連合)の2022年4月の合同結婚式(70ヵ国、2100組(4200人)が参加、そのうち1007人が日本人)」、「1987年から2021年までの、霊感商法による被害と、訴え件数は約3万4537、被害額は約1237憶円」との説明もしていた。いくつかの統一教会日本支部会長のごまかしや嘘が明らかになつてもきている。

 15日頃の「日テレNEWS」報道。山上容疑者の母の教団への献金の実態。信者からの膨大な献金の流れと韓国にある教団本部との関係(宮殿のような本部)。安倍元首相や米国前トランプ大統領と教団との関わりなどについてかなり詳しく報道されていた。北海道大学教授が「(安倍氏やトランプ氏など)これ以上の(教団にとっての)広告塔はない」とコメントしていたが、これもまた、今回の事件の本質だ。

 7月14日に発売された『週刊新潮』(7月21日号)と『週刊文春』(7月21号)。『週刊新潮』には、「元総理射殺犯"呪われた一家"の全履歴—"安倍=統一教会"歪んだ憎悪」の見出し記事特集が掲載。山上徹也(犯行)の家族について、彼の伯父(父の兄弟)が、とても詳しく語っている。

 7月16日付朝日新聞には、「秘めた苦しみ 将来"わからん"―"すべて教団のせい"恨み募らせ/独り立ちした後も母を訪ね気遣い」、「多額献金"食べるものがない"/海自時代 保険金かけ自殺未遂も 容疑者の困窮 伯父(77歳)が証言」の見出し記事。母は現在、私と同じ69歳。大阪市立大学を卒業している。

 『週刊文春』には、見出し頁の写真と共に、「安倍元首相暗殺―伯父が告白150分間/山上徹也"父の自殺"と母の統一教会1億円」の特集見出し記事が掲載。

 二つの週刊誌での伯父の説明は、山上徹也容疑者のこれまでの壮絶な人生について語られている。"壮絶"の感があり、同情を禁じ得ない。「すべては統一教会が、親子関係を家庭を、そしてたくさんの人の人生をめちゃくちゃにした」と恨む気持ちはよく理解できる。暗殺という方法は、絶対認められないが‥。

  京都大学を卒業し、土木(特にトンネル工事)関係の仕事をしていた父の突然の自殺(1984年・山上容疑者4歳/妹はまだ母のお腹の中)、夫の自殺のあと、統一教会との接点を持ち始める母。夫の保険金全額(約5000万円)を統一教会に献金する母。韓国に渡り続け家を長期留守にして、「家に食べ物がない」と伯父に電話する3人の小さな子供たち。片目の視力を失った兄、困窮する生活の中でも、伯父や祖父の助けもあり、奈良県立郡山高校に進学し、けなげに頑張る山上徹也。京都大学に合格できる学力ももちながら、大学進学をあきらめる‥。(1999年)

 頼りにしていた祖父(母の父)の死後、1999年に祖父が所有していた土地を売却し、その全て(約4000万円)を教団に献金する母。そして、母の自己破産(2002年)。海上自衛隊時代の山上容疑者の自殺未遂。自殺をしてその保険金を生活困窮の兄や妹に渡るようにしていたと伯父は語る。伯父は教団に対し、献金の返却を求めるも(1億数千万円にのぼる献金)、教団側は5000万円返すから手をうってくれと回答。返却された5000万円を母は再び。全額献金。7年ほど前に兄は自殺した。

 安倍元首相暗殺事件から10日ほど経過した今、かなり詳しく、事件に至る全貌が分かってきた。事件の背景要因は、①この記事で前述した元女性信者の話や伯父の話、②「教団の広告塔としての安倍元首相」の二つがあった。