天然居士の独り言

主に日記主体のブログです。

阿部定・・・

2020年12月23日 17時53分15秒 | 日記
 昨夜のNHKBSプレミアムの「アナザーストーリズ」で、阿部定を取り上げていました。
 この「アナザーストーリズ」は、毎回違うテーマを掘り下げています。
 興味のないテーマの時は観ていませんが、昨夜は興味がありました。

 阿部定は、ご存知の方も多いかと思いますが、
 1936年(昭和11年)5月18日に東京市荒川区尾久の待合で、
 性交中に愛人の男性を扼殺し、局部を切り取った事件を起こした女性です。
 この1936年は2・26事件が起こった年で、厳しい報道管制が行われていましたが、
 何故かこの事件は大々的に報道されていたとの事で、
 報道には何らかの意図があるのではないかと示唆していました。

 阿部定は、懲役6年の刑を受け、栃木県の栃木女子刑務所に服役した後、
 1941年(昭和16年)に「紀元二千六百年」の恩赦を受けて出所しています。
 1947年(昭和22年)に阿部定は坂口安吾と対談を行っていて、
 その内容は雑誌に掲載されていました。
 番組に出演していた小説家の村山由佳さんが、
 実際に面と向かって話をすると、あの坂口安吾ですら、
 普通の男と同じような話きり出来なかったと語っていました。

 先日亡くなった女剣劇の浅香光代さんは、
 阿部定と面識があり、その様子を語っていました。
 一時期、阿部定は、芝居・見世物一座で本人が講釈し、
 踊りを見せて、最後は自分の局所をチラッと見せていたとも語っていました。
 浅香さんの談話は、亡くなる2か月位前に撮影されたようですが、
 世志凡太さんと一緒に、お元気そうに話をしていました。

 阿部定が映画出演をしていた事も番組の中で紹介されていました。
 これは、1969年(昭和44年)に製作されたオムニバス映画で、
 実際に起きた猟奇事件を題材にした、「明治・大正・昭和猟奇女犯罪史」と言う映画です。
 監督は、「網走番外地シリーズ」の石井輝男ですが、
 東映ポルノ「異常性愛路線」と呼ばれる一連のエログロ作品も監督していました。
 この映画で主演していた俳優の吉田輝雄さんも出演し、
 浅草の東橋の上のシーンは望遠カメラで撮影し、
 音声は別に録音していたものを当てたと語っていました。

 この映画、僕も3年ほど前にCATVの「チャンネルNECO」で観ました。
 本物の阿部定が出て来て驚き、2017年10月3日の日記に書きました。
 ご記憶のある方も多いかと思いますが、全文を掲載しておきますので、
 お時間のある方はご覧になって下さい。
 この映画の最後は明治時代に死刑になった「高橋お伝」の話で、
 土方巽が怪演していますが、今回調べていて土方が阿部定に心酔して、
 一時期、彼女が営んでいた酒場の常連客だった事を知りました。
 「明治・大正・昭和猟奇女犯罪史」への阿部定の出演は、
 土方との縁があったのでしょうか?

 阿部定は、1971年(昭和46年)に千葉県市原市の旅館から失踪した後、
 行方が分からなくなりました。
 この失踪の時、旅館の女将への置手紙が残っていました。
 旅館の箸袋の裏に鉛筆で書かれたものですが、
 中々達筆だったように見えました。
 その後、彼女がどのよう生活を送り最期を迎えたのかは、
 「アナザーストーリズ」でも分からなかったようでした。
 
 以下、前述の日記の全文です。

 阿部定・・・(2017年10月03日の日記)

 少し古い話になりますが、9月25日の月曜日の事です。
 パソコンをやりながら、テレビを見るのが常の僕は、
 何か面白い番組はないかと、探していて、
 CATVの無料の映画放送「チャンネルNECO」でやっていた、
 「明治・大正・昭和猟奇女犯罪史」と言う映画に行き当たりました。
 実際に起きた猟奇事件を題材にした1969年(昭和44年)のオムニバス映画で、
 吉田輝雄さんが演じた解剖医の村瀬を狂言回しとして、
 「東洋閣事件」「阿部定事件」「象徴切り事件」「小平事件」「高橋お伝」が描かれています。
 監督は、「網走番外地シリーズ」の石井輝男ですが、
 東映ポルノ「異常性愛路線」と呼ばれる一連のエログロ作品も監督していました。
 その一環での作品なのでしょうね。
 
 「東洋閣事件」は、栃木県の塩原温泉で実際に起こった日本閣事件を扱っていました。
 何故、日本閣を東洋閣としたのか、分かりませんでした。
 犯人の小林カウは、戦後の女性死刑囚の最初に処刑されています。
 ウィッキペディアでも仮名だったのですが、何かあるのでしょうか?

 次が阿部定事件でした。
 ご存知の方も多いかと思いますが、
 1936年(昭和11年)5月18日に東京市荒川区尾久の待合で、
 性交中に愛人の男性を扼殺し、局部を切り取った事件です。
 映画は、この経過を描いていましたが、話が終わった後、
 本当の阿部定が映画に出演して、
 「そうね、人間一生に一人じゃないかしら、好きになるのは。
  ちょっと浮気とか、ちょっといいなあと思うのはあるでしょうね、いっぱい。
  それは人間ですからね。
  けどね、好きだからというのは一人」と語っていました。
 映画に出演した時の阿部定は63歳だったとの事です。
 もちろん刑期を終え、出所した後の事でした。
 有名な阿部定事件の当人を映画で見る事が出来て、驚いてしまいました。

 阿部定事件は、大島渚が「愛のコリーダ」として描きました。
 日本初のハードコアとの事で、現在でも完全版は見られないと思いますが、
 ネットでは見られます。
 人物の存在感など、さすがに大島渚と言う感じもします。

 話を戻しますが、この映画では、
 他に戦後の混乱期、買い出しの女性を騙して殺害した、小平事件も取り上げ、
 小池朝雄が熱演していました。
 小平の処刑シーンも出ていて驚きました。

 最後の「高橋お伝」は、明治の初めに起こった女性が起こした殺人事件です。
 犯人の高橋お伝は死刑となり斬首されましたが、
 これが日本では最後の女性の斬首刑とされています。
 この時処刑したのが、八代目山田浅右衛門の弟吉亮です。
 映画では山田浅右衛門になっていて、それを土方巽が怪演していました。
 この話だけ、それまでの実録物風ではなく、幻想的なシーンになっていました。
 映画の最後に、解剖医の村瀬が、大学の標本室のような所で話を締めくくりますが、
 これは、高橋お伝の局部が保存されていたとの話をベースにしているのでしょう。

 この映画、現代では、女性からの批難が集中して、
 公開出来ないような代物だと思います。
 しかし、当時の時代を反映させた映画である事も間違いないような気がします。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 令和3年度予算・・・ | トップ | 過去最多・・・ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事