光山鉄道管理局・アーカイブス

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KATOのEF55に思った「鉄道模型の独自性」のはなし(大汗)

2023-10-04 05:41:38 | 思いつくままに・考察
 予めお断りしておきますが、今回の記事は先週サブのブログに上げていた記事の改訂版です。

 サブで上げていた元記事は個人的に思い込みの強い先走った内容だったため、コメントでいろいろなご指摘やご意見を頂き、こちらとしても考え直す点が随分と出てきました。それらのコメントやご意見なども取り入れつつ改めて改訂した記事を上げさせて頂きます。
 結果、異様な長文となりましたがその点はご勘弁ください。

 先日来、当ブログではKATOのEF55ネタが止まらない状態で我ながら驚いています。
 見たところ、記事に対する反響もこれまでなかったほどのレスポンスがあり、このモデルへの関心が高い事が強く感じられました。

 実際、行きつけのショップに引き取りに行ったら予約品のEF55の「数」に圧倒されましたし、他の車種なら店頭用に何両かキープされている近場の量販店でもEF55だけは残っていない状況の様です。
 前にも触れた様に最近では中古ショップでM社の同型機モデルの出物が増えているようですし、全く時ならぬEF55フィーバーの様相です(自分も買っておいて何を言ってるんだか)

 さて、今回のEF55は如何にも最近のKATOらしいと言うか、仕上げの隙のなさやリアリティのある造形に加えて、鉄道模型では困難とされてきた急カーブのクリアの機構にも新機軸をぶち込んできたという点で意欲作なのは間違いありません。
 過去に出ていた同型機のどれよりもトータルでの出来が良く、まさに決定版と言えます。

 で、今回KATOのモデルをワールドやマイクロの同型機と走りを比べていて、ふと感じた事があります。

 確かにこのモデルに関して各社が払った設計の努力や製造の大変さはよく伝わりましたし、外見と走行性の両立という部分でも各社なりに非常な配慮がされています。
 ですが、もしこれが実車通りの外見とする事で走行性を犠牲にした(具体的には半径1Mのカーブも曲がれない様な)モデルだったら、あるいは逆に半径20センチのカーブをクリアする為にスカートや先輪をオミットしたモデルだったら今回のKATO製品ほどの話題性と人気が得られただろうか?という事です。

 この考えをもう一歩進めるなら「最初からディスプレイに徹しきるなら、実物準拠の構造のEF55のモデルはもっと簡単に製品化できたのではないか」もっと言うなら、飾る事に徹したモデルだったら、急カーブをクリアする為にこんな涙ぐましい努力をする必要もないし、そもそもモータもギアも必要ない筈です。これは逆に走行重視で外見を犠牲にした場合でも同じことではないかと思います。

 で、同じ製品や作品で「飾る事と動かす事が同じウェイトで語られる」というのは他の乗り物モデル(例えば飛行機や自動車などはディスプレイ用と操縦用のモデルの区分けが比較的はっきり分かれている事が多い)に比べた場合、鉄道模型が持っている独特な面ではないかと思えます。
 (こうした性格は模型の世界では他にトイガン、モデルガンなどが同様であるとのご指摘も頂きました)

 だからこそHOゲージのガニマタ論議や、先日当ブログでも触れたNゲージのアゴワレスカートなどが問題になる訳ですし、最近では外見を実物に近づけるために独自規格のカプラーや国際スケールに準拠したゲージ設定のモデルが登場もしています。
 つまり、殊鉄道模型のユーザーに関しては「実物通りの外見の精密さと、ある程度玩具に近い走行スペックを同時に要求しやすい」傾向が非常に強いと思います。

 この点に関しては「飛行機や自動車とは違い鉄道の場合は実物を自分で運転できる機会が極端に少ない。それ故に代償行動としての運転の度合いが高いのではないか?」というコメントを頂いたのですが、確かにそうした側面はありそうに思います。

 これに加えてわたし個人の印象として、「運転するだけでなく、列車が走る様をボーッと眺められる」点もある様な気もしています
 レイアウトなんかで目の前を自分の列車が通過する様を眺めるというのには運転とはまた別の魅力を感じていますし、自分の物ではなくともイベントなどで他の皆さんのレイアウトを眺めるのも愉しいと思っています。

 それに関連して飛行機や自動車のモビリティと異なる鉄道独自の特徴として「スロー走行に質感が求められる点」もあるのではないかと。
 (これはかつてのNゲージがHOに追いつけなかった部分であり、ここ20年くらいで急速に改善された点でもあります)

 実車と同じようなスローリーな発進~スムーズな加速・減速・停止が必要な点は、専らスピードレースや高速飛行がメインの他の乗り物模型と異なる点ではないかと思います。
 レイアウトに限らず買いたてのモデルをテーブルトップやお座敷運転で走らせる時でも同じような感銘はあるのではないでしょうか。
 これは特に足回りに動的なギミックを有する蒸気機関車などに著しい部分といえますし、レンタルレイアウトでかつて話題となった「暴走ユーザー」に対する一部マニアの嫌悪感の理由にも繋がっている部分でもありましょう。

 そしてこうした「走りの質の追求」もまた「実車に近いディテーリングや造形」を生かす要素のひとつであり、鉄道模型の特徴と言えるかもしれません。

 個人的な意見として、元々が玩具としてスタートした歴史的な経緯から言って、模型と玩具の境目が曖昧なのは鉄道模型の宿命みたいなものです。その矛盾を如何にして感じなくさせるか、ディスプレイも可能な「模型の部分」と走らせて楽しむ為の「玩具的な部分」がせめぎあいながら進化を続けてきたのが現状の鉄道模型ジャンルではないかと思います。
 (例えばメルクリン辺りのモデルの進化の過程を俯瞰すると、よりその印象が強く感じられます)

 それらの過程の到達点として「実物に近い外見と走りの質感をも同時に楽しませる」という意味では鉄道模型は「モケイ」「おもちゃ」のどちらをも超えうる存在かもしれないと思えてきます。

 ・・・などとモデルを手に取って走らせている間にこんな事を考えさせたり、他のファンと意見の交換ができたりして、挙句の果てにはこんな長文の駄文的考察を書かせてくれるのですから、それだけでも今回のEF55のモデルは偉大です(爆笑)


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