先日の神田行きで拾ったJTBキャンブックスの古本から。
「東京 電車のある風景今昔①」(吉川文夫著 JTB)

本書は東京駅をはじめ、銀座、渋谷、池袋などのJR駅や東急や京王などの一部私鉄を含めた昭和30~40年代の沿線風景を30年後の現代の風景と比較するものです。
本書の初版は2001年ですので今からすでに24年も前の本なのですが2024年と2001年を比べてもそれほど大きな変化を感じない気がします(実際は東京駅は改修で開業時の姿を取り戻し、渋谷周辺のビル街もそれなりにバージョンアップしていますが)
が、それだけ1960年代から2000年までの間の変化が急速だった(高度経済成長の真っただ中の時代でしたし)という事なのでしょう。
その事は被写体として取り上げられている電車や列車の変化に端的に象徴されます。
わずか30年かそこいらの間にこんなにも「普通の電車」「普通の風景」が変わった時代というのはあの頃の東京でなければ実感できないところではないでしょうか(同じ30年でも、例えばわたしの故郷では同期間はほぼ一貫してキハ52とキハ58の一択でした)
ある場所は急激に変化し、古色蒼然たる建物は超高層ビルになるか周囲をビルに囲まれた保存建造物になるかの二択しかない。ガラスの塔が増え、空はどんどん狭くなり都心ではガラス製の人工の谷底をのたくる様に列車が通過してゆく。
それは近接した田舎にしても同じ事で、景色が洗練されてゆく一方で朴訥さや素朴さは徐々に排除されるかファンタジーの風景でしか生き延びられない現状しかない。

そんな「都会の風景の持つダイナミズムと非情さ」を実感させるのはこうした経時的な定点写真ではないでしょうか。
単に懐かしの列車と今の電車を眺めるだけでなく、背景に描かれている時代の変化と非情さに思いをはせてみるのも本書の楽しみ方(?)のひとつではないかとも思えます。
「東京 電車のある風景今昔①」(吉川文夫著 JTB)

本書は東京駅をはじめ、銀座、渋谷、池袋などのJR駅や東急や京王などの一部私鉄を含めた昭和30~40年代の沿線風景を30年後の現代の風景と比較するものです。
本書の初版は2001年ですので今からすでに24年も前の本なのですが2024年と2001年を比べてもそれほど大きな変化を感じない気がします(実際は東京駅は改修で開業時の姿を取り戻し、渋谷周辺のビル街もそれなりにバージョンアップしていますが)
が、それだけ1960年代から2000年までの間の変化が急速だった(高度経済成長の真っただ中の時代でしたし)という事なのでしょう。
その事は被写体として取り上げられている電車や列車の変化に端的に象徴されます。
わずか30年かそこいらの間にこんなにも「普通の電車」「普通の風景」が変わった時代というのはあの頃の東京でなければ実感できないところではないでしょうか(同じ30年でも、例えばわたしの故郷では同期間はほぼ一貫してキハ52とキハ58の一択でした)
ある場所は急激に変化し、古色蒼然たる建物は超高層ビルになるか周囲をビルに囲まれた保存建造物になるかの二択しかない。ガラスの塔が増え、空はどんどん狭くなり都心ではガラス製の人工の谷底をのたくる様に列車が通過してゆく。
それは近接した田舎にしても同じ事で、景色が洗練されてゆく一方で朴訥さや素朴さは徐々に排除されるかファンタジーの風景でしか生き延びられない現状しかない。

そんな「都会の風景の持つダイナミズムと非情さ」を実感させるのはこうした経時的な定点写真ではないでしょうか。
単に懐かしの列車と今の電車を眺めるだけでなく、背景に描かれている時代の変化と非情さに思いをはせてみるのも本書の楽しみ方(?)のひとつではないかとも思えます。