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2023年1月22日 弁理士試験 代々木塾 特許法18条の2

2023-01-22 02:51:08 | Weblog
2023年1月22日 弁理士試験 代々木塾 特許法18条の2

(不適法な手続の却下)第十八条の二
1 特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。
 ただし、第三十八条の二第一項各号に該当する場合は、この限りでない。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。

〔解説〕
・1項(手続の却下)
(1)却下の対象となるのは、補正をすることができないほど重大な瑕疵を有する手続である。
 補正をすることができないので、特許庁長官は、補正命令をすることなく、その手続を却下することとなる。
(2)「手続」とは、3条2項の手続をいう。ただし、却下される手続は、具体的な手続である。
(3)「却下するものとする」
 「却下しなければならない」とする強行規定と同様であり、特許庁長官に裁量の余地はない。
(4)ただし書(38条の2第1項各号に該当する場合)
 特許庁長官は、特許出願が出願日の認定要件(38条の2第1項)を欠いているときは、出願人に対し、特許出願について補完をすることができる旨を通知しなければならない(38条の2第2項)。
 特許出願の願書に明細書が添付されていないときは、38条の2第1項3号に該当し、補完通知の対象となるので、18条の2の却下の対象から除くこととした。

・2項(弁明書提出の機会付与)
(1)18条の2第1項の却下をするときは、その前に、特許庁長官は、弁明書提出の機会を与えなければならない。
(2)18条の2第1項により却下された特許出願は、パリ条約の優先権の主張の基礎とすることできない(青本)。特許庁長官に優先権証明願を提出しても、優先権証明書の作成は拒否されることとなる。その結果、当該特許出願を基礎としてパリ条約の同盟国にパリ条約の優先権の主張を伴う特許出願をしても、当該同盟国に優先権証明書を提出することができず、優先権が否認されることとなる。

 方式審査便覧15.20 18条の2により却下される場合
1.出願手続の却下
 願書及びその添付書類が、次に掲げる事項に該当する場合には、特許法第18条の2第1項の規定により却下するものとする(特許法第38条の2第1項各号に該当するときは、同条第2項の規定により補完をすることができる旨を通知し、規定する期間内にその補完をしないときは、同条第8項の規定により却下するものとする。また、商標法第5条の2第1項各号に該当するときは、同条第2項の規定により補完をすべきことを命じ、指定された期間内にその補完をしないときは、同条第5項の規定により却下するものとする。)。
(共通事項)
(1)いずれの種類の出願であるか不明な出願をしたとき。
(2)日本語で書かれていない書面をもって出願をしたとき(特許法施行規則等で認められる願書様式、特許法第36条の2第1項に規定する外国語書面及び外国語要約書面を除く。)。(特施規2条1項)
(3)在外者(在外者と日本国内に住所又は居所を有する者が共同して出願をしたときを含む。)が日本国内に住所又は居所を有する代理人によらないで出願 (特許出願(分割出願、変更出願及び実用新案登録に基づく特許出願を除く。)を除く。)をしたとき。(特8条1項、特施令1条)
(4)原出願の出願人以外の者が、分割出願、変更出願若しくは補正却下後の新出願をしたとき、又は基礎とされた実用新案登録の実用新案権者以外の者が実用新案登録に基づく特許出願をしたとき(代理権が確認できる代理人又はもとの出願の代理人による手続であって、出願書面作成時に誤記したことが明らかな場合を除く。)。
(5)分割出願、変更出願若しくは補正却下後の新出願において、原出願が共同出願の場合で、原出願の出願人全員で行っていないとき、又は実用新案登録に基づく特許出願において、基礎とされた実用新案権が共有に係る場合で、共有者全員で行っていないとき(代理権が確認できる代理人又はもとの出願の代理人による手続であって、出願書面作成時に脱漏したことが明らかな場合を除く。)。
(6)出願をすることができる時又は期間が特許法、実用新案法、意匠法又は商標法により定められている場合において、その時又は期間外に出願をしたとき
(特許出願の分割においては 特許法第44条第7項の規定が適用される場合、実用新案登録出願又は意匠登録出願から特許出願への変更においては同法第46条第5項の規定が適用される場合、実用新案登録に基づく特許出願においては同法第46条の2第3項の規定が適用される場合、特許権の存続期間の延長登録出願においては 同法67条の2第3項括弧書き又は特許法施行令第3条ただし書(改正前特許法施行令第3条ただし書)の規定が適用される場合及び防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録出願においては 商標法第65条の3第3項の規定が適用される場合を除く。)。
(特許出願)
(7)先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願(以下「先願参照出願」という。)をしようとする者が先の特許出願の出願時の特許出願人、出願後の承継人又は出願前の権利者でないとき。(特38条の3第1項)
(8)先願参照出願をしようとする旨を願書に記載して特許出願をする者が先の特許出願をした国若しくは国際機関の名称、先の特許出願の出願日又は出願番号を願書に記載して提出しないとき。(特38条の3第2項、特施規27条の10第1項)
(9)先願参照出願をした者が、特許出願の日から4月以内に、当該特許出願に係る願書に添付して提出すべき明細書及び必要な図面並びに先の特許出願の認証謄本又は先の特許出願の認証謄本が外国語で記載されている場合は日本語による翻訳文を提出しないとき。(特38条の3第3項、特施規27条の10第3項、4項)
(実用新案登録に基づく特許出願)
(10)実用新案権の設定の登録がなされていない実用新案登録出願又は実用新案権が消滅した実用新案登録を基礎として実用新案登録に基づく特許出願をしたとき。(特46条の2第1項)
(11)実用新案登録に基づく特許出願の際に、実用新案権の放棄による登録の抹消の申請がなされていない又は当該申請が却下になった実用新案登録を基礎として実用新案登録に基づく特許出願をしたとき。ただし、この場合において、当該出願に対する却下の処分を行おうとする際に、実用新案権の放棄による登録の抹消の申請がなされているときは、却下の処分は行わない。(特46条の2第1項)
(特許権の存続期間の延長登録出願)
(12)特許番号が記載されていない書面をもって特許権の存続期間の延長登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から特定できるときを除く。)。(特67条の2第1項2号、特67条の5第1項2号(改正前特67条の2第1項2号))
(13)特許法第67条第4項(改正前特許法第67条第2項)の政令で定める処分の内容が記載されていない書面(延長の理由を記載した資料が添付されているときを除く。)をもって特許権の存続期間の延長登録出願をしたとき。(特67条の5第1項4号(改正前特67条の2第1項4号))
(実用新案登録出願)
(14)明細書及び実用新案登録請求の範囲を添付しないで実用新案登録出願をしたとき。(実5条2項)
(意匠登録出願)
(15)図面を添付しないで意匠登録出願をしたとき(意匠法第6条第2項により図面に代えて写真、ひな形又は見本を提出するときを除く。)。(意6条1項、2項)
(16)意匠に係る物品又は意匠に係る建築物若しくは画像の用途を記載しない書面をもって意匠登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から特定できるときを除く。)。(意6条1項3号)
(商標登録出願)
(17)団体商標登録出願において、商標法第7条第1項に規定する「一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人」以外の者が出願をしたとき(願書に添付された書面全体から出願書面作成時に誤記したことが明らかな場合を除く。)。
(商7条1項)
(18)地域団体商標登録出願において、商標法第7条の2第1項に規定する「事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに相当する外国の法人」以外の者(個人、会社等)が出願をしたとき(願書に添付された書面全体から出願書面作成時に誤記したことが明らかな場合を除く。)。(商7条の2第1項)
(防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録出願)
(19)防護標章登録の登録番号を記載しないで防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録出願をしたとき(願書に添付された書面全体から当該登録番号が特定できるときを除く。)。(商65条の3第1項2号)


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