堤卓の弁理士試験情報

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19.5.4 短答H18〔21〕

2007-05-04 10:02:13 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔21〕 意匠の新規性の喪失の例外( 意匠法第4条) の規定に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
 ただし、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、分割又は変更に係るものでも、補正後の新出願でもないものとする。

1 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して、外国において公然知られるに至った意匠について、公然知られるに至った日から5月後にその国に出願をし、さらに3月後に、その出願を第一国出願としてパリ条約による優先権の主張をして、日本に意匠登録出願をするときは、その意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができる場合がある。
〔解答〕誤り
 意匠法4条2項の適用を受けるためには、公知になった日から6月以内にわが国に意匠登録出願をしなければならない。第1国出願に基づく優先権を主張する場合であっても、4条の2の適用を受けるためには、公知になった日から6月以内にわが国に意匠登録出願をしなければならない。
 本問では、公知になった日から8月経過後にわが国に意匠登録出願をしているので、4条2項の適用を受けることはできない

2 甲は、独自に創作した意匠イを自ら刊行物に公表した後、イについての意匠登録を受ける権利を乙に譲渡し、乙がイについて意匠登録出願Aをした。この場合において、乙はAに係るイについて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができる場合がある。
〔解答〕正しい
 甲が独自に創作した意匠イを自ら刊行物に公表したことは、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠イが意匠法3条1項2号に該当するに至ったことの要件を満たすことができる(4条2項)。その後、乙は、意匠イについての意匠登録を受ける権利を甲から譲り受けているので、乙が意匠イについて意匠登録出願Aをするときは、意匠イについて4条2項の適用を受けることができる。4条2項の「その者」とは、公表者と出願人の同一を要件とするものではなく、意匠登録を受ける権利をその後に取得した者も含む趣旨である。

3 甲は、独自に創作した意匠イを自ら刊行物に公表した後、イについて意匠法第4条に規定する要件を満たした意匠登録出願Aをした。この場合において、その公表後Aの出願前に、乙が、イを刊行物に公表していたとき、甲はAに係るイについて意匠登録を受けることができる場合はない。
〔解答〕誤り
 甲が公表した刊行物に記載された意匠イを乙が見て、その後、乙が意匠イを刊行物に公表したような場合は、乙が意匠イを刊行物に公表したことは甲が意匠イを刊行物に公表したことに起因しているので、この場合は、乙の公表によっては、出願Aに係る意匠イの新規性は否定されないと解すべきである。
※意匠審査便覧10.37参照

4 甲は、独自に創作した意匠イを自ら刊行物に公表した後、イについて意匠登録出願Aをした。甲は、イについて新規性喪失の例外の規定の適用を受けようとするとき、Aと同時にその旨を記載した書面を特許庁長官に提出し、かつ、イがその規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面をAの出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
〔解答〕正しい
 意匠法4条3項は、「前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至つた意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならない。」と規定している。したがって、正しい

5 2以上の意匠を包含する意匠登録出願Aの一部を分割して新たな意匠登録出願Bをする場合において、Aが意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるための手続きをしたものであるときは、Bについて同条第3項の規定により提出しなければならない書面は、その旨を願書に表示しなければ提出を省略することができない。
〔解答〕誤り
 意匠法10条の2第3項は、願書に何も記載しないで、書面又は書類のみなし提出の効果を認めるものである。