堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

19.4.22 短答H18〔33〕

2007-04-22 13:56:36 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔33〕特許を受ける権利に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

1 特許を受ける権利は、特許出願前においては、質権の目的とすることができないが、特許出願後においては、質権の目的とすることができる。
〔解答〕誤り
 特許法33条2項は、「特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。」と規定している。したがって、特許出願後においても、特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない。

2 特許を受ける権利が共有に係るとき、特許出願前においては、各共有者は、他の共有者の同意を得た場合であっても、その持分を譲渡することができない。
〔解答〕誤り
 特許法33条3項は、「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。」と規定している。
 したがって、特許出願の前後を問わず、他の共有者の同意を得た場合は、特許を受ける権利の持分を譲渡することができる。

3 特許を受ける権利は、特許出願前においては、実施の事業とともにする場合に限り、譲渡により移転することができる。
〔解答〕誤り
 特許法33条1項は、「特許を受ける権利は、移転することができる。」と規定している。
 したがって、実施の事業と分離して、特許を受ける権利を譲渡することができる。

4 特許を受ける権利が甲及び乙の共有に係るとき、特許出願後に、甲が乙の同意を得て、甲の持分を丙に譲渡した場合、甲から丙への特許を受ける権利の承継は、特許庁長官に届け出なくても、その効力を有する。
〔解答〕誤り
 特許法34条4項は、「特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。」と規定している。
 甲から丙への特許を受ける権利の承継は、特許出願後であるので、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。

5 特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。
〔解答〕正しい
 特許法34条1項は、「特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。」と規定している。
 条文のとおりである。

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19.4.22 短答H18〔27〕

2007-04-22 09:47:21 | Weblog
 平成18年度 短答式試験

〔27〕特許法に規定する審判の審理に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。

(イ)拒絶査定不服審判において、請求人が、審判の請求書に拒絶をすべき旨の査定に対する不服の理由をなんら記載せず、その査定の取消しを求める旨の主張のみをしている場合、審判長は、その請求書について補正を命ずることなく、審決をもって審判の請求を却下することができる。
〔解答〕誤り
 特許法131条の2第1項ただし書により、拒絶査定不服審判の請求書の請求の理由については、要旨を変更する補正をすることができるので、拒絶査定不服審判の請求書に請求の理由がまったく記載されていないときは、審判長は、133条1項により、請求人に対し、相当の期間を指定して、請求書について補正をすべきことを命じなければならない。したがって、補正命令をすることなく、135条により、審決をもって却下することはできない。

(ロ)審査官が進歩性欠如のみを理由として拒絶をすべき旨の査定をしている場合、その査定に対する拒絶査定不服審判においては、発明が自然法則を利用したものであるか否かや、出願が発明の単一性の要件を満たしているか否かについて、審理することができない。
〔解答〕誤り
 拒絶査定不服審判は、審査の続審であり、拒絶査定の当否のみならず、特許審決ができるかどうかを審理判断するものである。したがって、審判官は、拒絶査定に示された審査官の拒絶理由以外の拒絶理由についても、職権で審理判断することができる(121条、158条、159条)。

(ハ)2以上の請求項に係る特許に関し、甲及び乙が別個に特許無効審判を請求し、審理が併合された場合、審判長は、甲が請求項1に係る特許の無効を主張するために提出した刊行物aに記載の発明と、乙が請求項2に係る特許の無効を主張するために提出した刊行物bに記載の発明とに基づき、請求項1又は2について、進歩性欠如の無効理由を新たに通知することができる。
〔解答〕正しい
 特許法153条1項は、「審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。」と規定している。したがって、特許無効審判の審判官は、刊行物aと刊行物bとにより、当事者が申し立てない理由である進歩性欠如の無効理由を通知することができる。

(ニ)2以上の請求項に係る特許に関し、請求人が、請求項1に係る特許のみについて特許無効審判を請求している場合において、審判長は、請求項2に係る特許についても無効理由があると口頭審理中に判断したときは、当事者に対して、請求項2について無効理由を通知し、期間を指定して意見を申し立てる機会を与えることができる。
〔解答〕誤り
 153条3項は、「審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。」と規定している。したがって、請求項2について無効審判が請求されていないときは、審判官は、請求項2について無効理由があると判断できるときであっても、請求項2について無効理由を通知することはできない。

(ホ)職権による証拠調べを行い、ある製品の一般市場への販売開始が審判事件に係る特許出願の前になされたことが明白となった場合には、審判長は、当該証拠調べの結果を当事者に通知しなければならないが、意見を申し立てる機会を与える必要はない。
〔解答〕誤り
 特許法150条5項は、「審判長は、第一項又は第二項の規定により職権で証拠調又は証拠保全をしたときは、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。」と規定している。
 新規性がないことが判明したのは、職権による証拠調べの結果であるので、審判長は、その結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

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