1話の感想文を淡々と書いていますがやはり今回はこの作品の感想文を書かずにはいられません。というわけで今回は「魔法少女まどか☆マギカ」の最終回を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。
「魔法少女まどか☆マギカ」…アニメ制作会社シャフトのオリジナルアニメ作品で、アニメ制作はシャフトです。監督は新房昭之、キャラクター原案蒼樹うめ、そして脚本虚淵玄と、今までに無い異色のキャストで2011年冬アニメの本命の1つと言われていたこの作品、1話では魔法少女の一人暁美ほむらが謎の行動を取る展開の中、もう一人の魔法少女巴マミが登場して魔女を倒していました。
基本的に蒼樹うめデザインの可愛い系のキャラクター達が魔法少女として魔女と呼ばれる存在と戦っていたため、この作品もいわゆるなのはシリーズのように萌えとド派手な魔法アクションを駆使して、時にはドジっ娘のような展開もあるアニメなんじゃないかと思っていて、実際どこのアニメ雑誌でも萌えを前面に押し出していました。が、しかしその幻想は3話で一気に崩れ去ることに。
3話でついに主人公鹿目まどかが魔法少女になる決心をしますが、その回で巴マミが魔女シャルロッテに頭から喰われ惨殺されるという、通称「マミる」という現象が起きてからは物語の雰囲気は一変して暗くなっていきました。そしてこの3話からエンディングが流れるようになりましたが、そのエンディングがまた曲、歌詞ともに作品に合っていて、思えば1話と2話にエンディングが無かったのは意図的だったようです。
その後も息をつく間も無く展開は変わり、いよいよ赤の魔法少女佐倉杏子も登場して魔法少女同士の戦いにまで発展し、単なる魔法少女の変身アイテムかと思われていたソウルジェムの正体が判明したときや魔法少女システムの正体など、とにかく毎週見逃せない展開ばかりで毎回釘付けになってしまいました。演出も良かったですが何よりこのシナリオの面白さは別格で、本当に脚本家の虚淵玄はテレビアニメ脚本が初めてとは思えません。
そしてこの作品においてはキャラクターも非常に良く、魔法少女達もクセが強いながら魅力的でした。もうちょっと美樹さやかと巴マミの過去が知りたいところでしたが、他の3人についてはそれなりに深いところまで過去話があったので、12話作品ながら良く描かれていたと思います。そんな中でもキュゥべえの嫌われ方は異常で、序盤から妙に契約を迫る描写が怪しまれていましたが中盤以降は株が大暴落してダントツの嫌われキャラと化していました。
キャラクターといえばなんといってもこの作品においては主人公鹿目まどかと暁美ほむらは欠かせません。この2人においては声優の演技も非常に高く評価され、中でも鹿目まどか役を演じた悠木碧の演技は素晴らしかったです。基本的に状況に流されるままで何もしていないキャラはウザがられて嫌われるはずですが、この作品に至ってはそういう意見をほとんど聞かなかったのは演出や脚本のうまさと演技だったと思います。6話で美樹さやかが死んだときに泣いて取り乱した演技が特に絶妙でした。
そしてこの作品である意味もう一人の主人公とも呼べたのが暁美ほむらでした。序盤から何かと謎のある発言や行動をしていたキャラクターで、その特殊な能力から瞬間移動系とも予測されていましたが期間限定とはいえまさかのあの能力。そしてあの攻撃!魔法少女ものでも今までに見たことがない斬新な攻撃方法に衝撃を受けました。その暁美ほむらの全ての始まりが語られる10話はこの作品で最も印象に残った話で、その中でも時間が戻る寸前にまどかに介錯するシーンの悲痛な叫び声は特に印象的でした。
11話と最終話はその内容もあり東北太平洋沖地震の後自粛されていましたが、先週ついに地上波で一挙放映が行われネットでもニュースになり実況も大荒れになりました。序盤からの謎の一つだった鹿目まどかの異常な魔法少女としての才能の正体も明らかになり、エントロピーを含む物語が次第に恐ろしい勢いで壮大になっていき、それが原因で萎えてしまった人もいたようで、自分は壮大な話に少々ついていけませんでしたが何はともあれ最後は良く締めていたと思います。ラストの暁美ほむらが弓を構えるシーンとか特に震えました。
中途半端に2期があるような終わりでも無く、バッドエンドのような終わりでもない絶妙な終わりにネットでは賛否両論のようでした。個人的にはこういう終わりは十分有りかなと思います。そして最後まで戦い続けた暁美ほむらはやはり素晴らしかった…。美樹さやかのラストシーンも忘れられません。完全なハッピーエンドではない終わり方はまさに虚淵玄脚本といったところでしたがこのような終わりだったからこそ印象深かったです。
作画は普通といったところでシャフトらしいかんじでしたが、シナリオ及び演出は別格で素晴らしかったです。今までに無い斬新な話だったこともあり毎週見逃せませんでした。主題歌もオープニングの明るい雰囲気と裏腹にエンディングの禍々しい雰囲気が作品を象徴していました。
総評
全体的な感想としては…正に別格!2011年が始まっていきなり最大クラスの作品が登場してしまいました。放映前から面白くなるかもとは言われていましたがここまで面白くなるとは予想以上。久々に毎週続きが楽しみなアニメでした。
個人的評価としては、作画はそれなりでしたが面白さと盛り上がり方、そして演出は素晴らしく主題歌も作品を象徴していたし文句無しのSランクです。SSくらいつけてもいいかもしれません。
国内のみならず海外からも注目され非常に高い人気を持っていただけに、BD・DVD売り上げも相当な数の予約が入っているらしくもうすぐ1巻が発売されますが、予想売り上げ枚数が60000以上?とも言われすさまじい結果を叩き出しそうです。2011年はオリジナルアニメの年とも言われていますがそれを象徴する素晴らしい作品でした。最後はやはりこの言葉で。
―Don't forget.
忘れないで
always, somewhere,
いつも、どこかで
someone is fighting for you.
誰かがあなたのために戦っている事を
―As long as you remember her.
あなたが彼女を忘れない限り
you are not alone.
あなたは一人じゃない