2010年秋終了アニメ最終回の感想文その3(超長文注意)

2010-09-29 20:19:10 | 2010年春アニメ関連

 本当は別作品の最終回の感想文を書いていましたが今回ばかりは前倒ししてこの作品の感想を書かないわけにはいかないでしょう!というわけで今回は2010年春アニメの本命中の本命と呼ばれたこの作品「けいおん!!」の最終回を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。

Keion22 Keion23 「けいおん!!」…まんがタイムきららで連載されていた、かきふらいの漫画「けいおん!」の第2期作品で、アニメ制作は京都アニメーションです。ゆるやか部活アニメとして2009年で大ヒットを記録し、「けいおん!は生きがい」とまで呼ばれ多数の信者を生み出した超人気作の第2期作品ということで前人気は極めて高く春アニメの本命中の本命と言われていたこの作品、1話ではいよいよ平沢唯達軽音部メンバーが3年生になり始業式から始まり新歓ライブまでが描かれていて相変わらずの安定した出来でした。

 個人的にですが、1期は1クール作品でありながら1年生の始業式から2年生の学園祭までを一気に突っ走り、ほとんど練習をしないで遊んでばかりだったのに学園祭での演奏は完璧だったため全くキャラクターに感情移入できなく自分の中で評価は悪く2009年個人的アニメランキングでは25位くらいでした。そのためあまり2期はそれほど過度な期待は寄せていなかったんですが…

すいません2期は予想を大幅に上回り素晴らしかったです。その理由の一つとしては、1期と違い2クールという長い期間をかけて日常描写を描いたことや後輩の中野梓視点による第三者視点から見た軽音部を演出したことかもしれません。

Keion28 Keion29 そしてまず2期を見始めて最初に良いと思ったのはメインキャラの1人琴吹紬でした。1期ではほとんど目立たずモブ(その他)キャラとほとんど変わらない扱いだった彼女ですが2期では目に見えて活躍の場が増え、ホームセンターでの買い出しではしゃいでいる姿や修学旅行の枕投げで心の底から楽しんでいる姿は視聴者にズキュウゥゥゥンと来て自分含め数多くのムギ信者を誕生させました。

Keion30 Keion31 もちろんメインキャラの話も面白く、一番人気の秋山澪がメインの秋山澪ファンクラブの話では先代生徒会長が出てきたり、夏期講習回では今までにありそうで無かった琴吹紬と田井中律のカップリングが見られたりと日常描写がさらにレベルアップしていて盛り上がっていました。

Keion32_2 Keion33 Keion34 他にも数多くの良回が存在し、個人的に特に良いと思ったのは期末テスト中ながら近所のおばあちゃんに晴れ姿を見せようとして頑張ったゆいあず回や、1日限りのDEATH DEVIL復活回、そして妹がいなくなって初めて分かった感情を描いた作詞回など1話完結の話ながらしみじみくる良い話も多かったです。

Keion35 Keion36 そしてこの作品の極めつけはやはり3年生最後のライブ回で、前日からの準備や学校に寝泊まりしたりして学園祭の雰囲気を見事に演出しつつ、意外なサプライズも含めモブキャラも総登場し、1話全てをライブに使った構成はけいおん!作品の集大成とも言える最高のライブ回でした。そしてその回のラストシーンはかなり涙腺にくるものがあり、まさか日常アニメかと思いきや青春アニメでもあったとは…。

Keion37 Keion38 そんな完璧な作品とも思える「けいおん!!」ですが放映中に指摘された悪いところもいくつかあり、中でも横谷昌宏氏が脚本を書いた回はかなり浮いていて、2年生がプールに行った回では夢オチを連発したりマラソン回では平沢唯が行方不明になったりと評判はかなり悪かったです。

Keion39 Keion40 最後は卒業式に向け準備が進められ本当に「けいおん!」が終わるということを実感させられ、最後の展開は現実ではまずありえない展開だったため否定的な意見が多かったですが、まぁアニメだから…ということで深く考えないほうがいいかもしれません。卒業式前日にみんなで思い出を残すところや、学生時代にやり残したことをやる描写はちょっと学生時代を思い出させるものがありました。

Keion41 Keion42 そしてついに最終回が始まったときは自分も思わず実況に参加してしまいましたが、やはりブームにもなった大人気作品が最終回になる瞬間に立ち会うというのは感慨深いものがありました。原作も少し前に完結したためアニメも同じ時期に完結という「とらドラ!」以来久々となる終わり方でした。

Keion43 Keion44 Keion45 Keion46 シナリオも秀逸でしたが京都アニメーションの真骨頂と言われるのは季節感を見事に出している背景作画と空気感・光の演出で、春の桜から夏の陽炎、秋の夕暮れ、冬の冷たい空気、そして学園祭のスポットライトの光に写り込んだホコリまで描いた緻密な描写は圧巻で、テレビアニメ作品でここまで描いているのは京都アニメーションくらいです。

Keion47 Keion48 他にも1期から恒例となっていますが、実在の建物や小物を作中に登場させているため、それを特定する通称「特定厨」による仕事の早さも健在で、さらに今回はモブキャラの名前や席順まで特定する祭り状態にもなっていました。

極めつけは卒業式の席順で、ちゃんと作中の席順の通りに全キャラクターを座らせ、寄せ書きはクラスメイト全員の名前からメッセージまで全部ちゃんと書いてあるという徹底ぶり。しかもこのシーンは地デジ放送で最大に拡大してもよく見えないほど小さい部分なのに作り込んでいる職人とも思える作業の細かさもさることながら、それを特定する特定厨もハンパじゃありませんでした。

Keion24 Keion25 Keion26 Keion27 そしてこの作品のさらにすごいところの一つはキャラクターデザイン・総作画監督の堀口悠紀子が描き下ろした3年2組のクラスメイトで、モブ(その他)キャラ扱いながらクラスメイト全員に名前はもちろんのこと出席番号から席順、性格までちゃんと設定が加えられていて圧巻でした。中でも左から

立花姫子、若王子いちご、木下しずか、瀧エリ…この4人はモブキャラの中でも特に人気が高く一部では「もぶおん!」とまで言われメインキャラ並の人気を持っていました。

Keion49 Keion50 他にも2期では平沢憂・中野梓・鈴木純の後輩3人による第三者視点による描写も描かれていて、3人が主役になっている回もありキャラクターとしても非常に魅力的で面白かったです。軽音部メンバーも十分キャラクターとして立っていましたがこれら後輩3人組の存在もこの作品では欠かせない部分になっていたと思います。

Keion51 Keion52 音楽、劇中歌も1期に続き好評で今回もオリコンランキング上位に食い込むほどの人気の高さでした。ただやはり1期のときと比べるとパワーダウンしてるかな…という印象はやや受けました。しかし2期後期のオープニングとエンディングは前期より良かったです。劇中歌はライブ回で初登場しましたがそれまでの制作話もあったため良い感じでした。そして最終回で登場したあの挿入歌はサプライズでした。まさか最後の最後に全員合唱があるとは…!素晴らしかったです。

Keion53 Keion54 最後の2話は番外編でしたが幻の勧誘ビデオ作成回は軽音部の日常描写の描き方、そして夕暮れの雰囲気の作り方が絶妙でモブキャラインタビューもあったためモブキャラファンも納得の出来でした。そしてもう一つの番外編でまさかの1期伏線回収とは!1期のBDのジャケット絵は意味不明な絵が多かったんですがそれをどうやって撮影していたかを描き出した予想外の良回で面白く安心の花田脚本でした。

Keion55 Keion56 そして最後の最後、番外編が終わり本当に「けいおん!!」が終わってしまった…とお通夜の準備が着々と進められていたときに…

き…キマシタワーーーー!

の劇場版「けいおん!」制作発表!どうやらけいおんブームはまだまだ終わらないようです。

総評

Keion57_3 Keion58_3 Keion59_2 全体的な感想としては、非日常的な日常アニメの第2期作品として始まった今作品、細かいところや最後の展開など気になる部分はいくつかありますが全体的にすさまじく完成度が高く日常アニメとしては間違いなく傑作でした。

作画はキャラクターはもちろんのこと背景作画、表情の動き、モブキャラに至るまでの緻密な設定といい文句無しです。シナリオも原作に合わせ完結させたので中途半端な終わらせ方にせず良かったと思います。音楽も良好でした。

個人的評価としては、1話は始業式から始まりこれからの軽音部の活躍を期待させる盛り上げ方だったので可能性を感じたためAランクでした。そこからは…言わずもがな右肩上がりに面白くなり最後もちゃんと完結させ伏線回収まで行うという徹底ぶりに感服。文句無しのSランクです。

もともと1期の人気も高く2010年春アニメの本命中の本命と呼ばれた作品なだけにBD・DVD売り上げは41000枚と同じ本命と呼ばれた「Angel Beats!」の40000枚を先週追い抜き見事1位となっていました。たしかにこの出来なら納得の数字です。

「けいおん! は生きがい」と言われている今作、劇場版の制作も決定しまだまだブームは続きそうです。もちろん自分も要チェックしますよ!2010年のアニメを代表する歴史に残る作品でした。