◼️「パーフェクト・ブルー」(1998年・日本)
監督=今敏
声の出演=岩男潤子 松本梨香 辻親八 大倉正章
今敏監督のデビュー作にして衝撃作。傑作「パプリカ」が大好きなのと、本作のキャラクター原案を尊敬する江口寿史が担当していることから、ずっと観る機会が欲しかった作品。2023年9月にFilmarksが全国規模の上映イベントをやってくれたおかげで劇場で鑑賞する機会をいただいた。感謝。
アイドル歌手から女優へと次なる一歩を踏み出そうとする主人公未麻。でもそれは歌手になりたいと願って上京した彼女にとっては思わぬ方向だった。グループ脱退から、それを望まないファンからと思われる嫌がらせが届き始める。わずかな台詞だけの連ドラ出演のはずが、次第に業界の餌食になっていく様子が痛々しく描かれる。彼女自身の心も身体もさらけ出すハードな仕事を続ける中で、連続して起こる殺人事件。そして未麻は夢と現実の境目がわからなくなっていく。
芸能事務所で起こった性加害問題が世間を騒がせている今年。このタイミングで鑑賞したせいか、裏でのやりとり、アイドル時代のファンの反応、大人への脱皮と言いながら業界の喰い物にされていく様子が生々しく感じられる。アニメだからできるホラー描写、暴力、残虐シーンの数々。そして悪夢が覚めたらさらなる悪夢が襲う場面は、下手なホラー映画よりもよっぽど怖い。特にクライマックスでは、見ているこっちまで現実と幻影が入り混じり、目が離せない。本来はOVAとして世に出るはずだった作品だと聞く。それだけに表現は容赦ない。女の子がいたぶられる話は好きじゃないけど、目を背けたくても映画がグイグイと引っ張ってくる。ダーレン・アノロフスキーが実写化を考えたとも聞く。納得できるエピソードだ。
アイドル歌手から女優へと次なる一歩を踏み出そうとする主人公未麻。でもそれは歌手になりたいと願って上京した彼女にとっては思わぬ方向だった。グループ脱退から、それを望まないファンからと思われる嫌がらせが届き始める。わずかな台詞だけの連ドラ出演のはずが、次第に業界の餌食になっていく様子が痛々しく描かれる。彼女自身の心も身体もさらけ出すハードな仕事を続ける中で、連続して起こる殺人事件。そして未麻は夢と現実の境目がわからなくなっていく。
芸能事務所で起こった性加害問題が世間を騒がせている今年。このタイミングで鑑賞したせいか、裏でのやりとり、アイドル時代のファンの反応、大人への脱皮と言いながら業界の喰い物にされていく様子が生々しく感じられる。アニメだからできるホラー描写、暴力、残虐シーンの数々。そして悪夢が覚めたらさらなる悪夢が襲う場面は、下手なホラー映画よりもよっぽど怖い。特にクライマックスでは、見ているこっちまで現実と幻影が入り混じり、目が離せない。本来はOVAとして世に出るはずだった作品だと聞く。それだけに表現は容赦ない。女の子がいたぶられる話は好きじゃないけど、目を背けたくても映画がグイグイと引っ張ってくる。ダーレン・アノロフスキーが実写化を考えたとも聞く。納得できるエピソードだ。
90年代製作の作品なので、インターネット描写はさすがに古い。しかし、懐かしい型式のマッキントッシュ、今よりも小さな画面で未麻が目にする"もう一人の未麻"は、双方向のやり取りが当たり前の今とは違って、反論できないだけに底知れない不気味さを感じる。
80年代のアイドルを知る世代ならセイント・フォーというアイドルグループを覚えているだろうか。本作で未麻を演じた岩男潤子は、メンバーの一人板谷祐三子の脱退に伴ってセイントフォーに加入した時期がある。脱退後に板谷祐三子がセクシー路線で知られるようになり、岩男潤子が後に声優の仕事で自分を発揮し、メンバーだった濱田のり子が再び歌で活動している。こういう情報があると、どうしても重なって見えてくる。リアルでもいろんな葛藤があったのだろうか。
「あなた、誰なの?」
未麻が出演したドラマの台詞だが、それは物語が進むと自問自答へと変わっていく。
本当に望む自分になっているのか?
それは本当の自分なのか?
不思議な余韻を残すラストシーンを噛み締めながらシアターを出ると、その施設の1階で地元アイドルグループがイベントをやっていた。彼女たちに闇が迫って来ませんように。
コメントありがとうございます😊
ラストのバックミラー越しのひと言ですね。僕も前向きな決意だと受け止めました。あのひと言でこっちも救われた気持ちになりましたが、いろんな感想や考察もあるみたいですね。見ごたえありました。
女優として有名になった未麻が「わたしはわたしよ」
と長らく悩んできた
「あなた誰なの」
に決着をつけるような台詞が、私は好きです。