12月21日(木) 「患者は顧客」
「お医者さんが、こっちの言うことを親身になって聞いてくれん」と、知り合いの主婦が不満顔に言っていた。患者の身になって考えてくれない、ということらしい。
▽幸い私の接する医師は、みなこちらの言うことをよく聞いてくれて親切である。20歳のころ副鼻腔炎になって、他県の耳鼻科医院で診察してもらったが、おれに任せておけという感じで、何を聞いてもあいまいな返事だった。かつてはこんな、上から患者をみる医師が多かった。
▽病気を治してやる、といった意識は昔型の医師にはあるが、きちんと病状を説明し、自分の考えを患者に分かりやすく説く医師は信頼する気になる。治してやるというよりも、共に病気と戦おうという気持ちが患者に伝わるのである。こんな人は、患者の言うこともよく聞いてくれる。
▽日本の病院では、受診者を「患者」と呼び捨ててきた習慣があった。アメリカでは早くから、患者は「お客さん」として丁重に対応すべきだという考え方がある。日本でも受診者を「診てあげる」という昔ながらの感情を一掃して、顧客として丁寧に接することが当然だ、と医師の日野原重明さんが「95歳私の証・あるがまま行く」(朝日新聞)の中で書いている。
▽受診者は大切な顧客だという意識の変化は、日本でも広がってきているというが、患者の身になって一緒に悩んでくれる医師が増えてほしいものである。(香)
以上、紀伊民報 2006.12.21 コラム「水鉄砲」より
一緒に悩んでいるだろうか。一緒に悩むには、共通の問題意識が必要だ。悩むにあたり、背景やら経緯らも共有されていなければならない。そんな関係に、プライベートを打ち明けられることが大切である。
医者は、治療方針を立てる必要があるし、治療を進める権限があるので、なろうと思えばなりやすいが、薬剤師はそれに比べると難しい。話を聞いてあげることができても、肝心の力にどれくらいなってあげられるか。
簡単に解決しない問題も少なくない。時間もかかることだらけだ。
悩む状態は、どちらかというと重苦しく、暗い状態だ。楽しくも、明るくもない。そのせいかどうかはわからない。明るい笑顔で接し(接遇上、最初から暗く陰気なのも困るが)、一緒に悩まずに、明るく?薬局を後にさせる様子が珍しくない。
「患者は顧客」といっても、立場上、負担金の授受を含むとはいえ、お金を払ってくれるからわがままでもなんでも聞く、といった打算的な意味ではないだろう。
ただちに問題は解決しなくても、多少は晴れた感じで、前向きに生活を送れるエネルギーを与えて、帰途についてもらうようにできればと思う
「お医者さんが、こっちの言うことを親身になって聞いてくれん」と、知り合いの主婦が不満顔に言っていた。患者の身になって考えてくれない、ということらしい。
▽幸い私の接する医師は、みなこちらの言うことをよく聞いてくれて親切である。20歳のころ副鼻腔炎になって、他県の耳鼻科医院で診察してもらったが、おれに任せておけという感じで、何を聞いてもあいまいな返事だった。かつてはこんな、上から患者をみる医師が多かった。
▽病気を治してやる、といった意識は昔型の医師にはあるが、きちんと病状を説明し、自分の考えを患者に分かりやすく説く医師は信頼する気になる。治してやるというよりも、共に病気と戦おうという気持ちが患者に伝わるのである。こんな人は、患者の言うこともよく聞いてくれる。
▽日本の病院では、受診者を「患者」と呼び捨ててきた習慣があった。アメリカでは早くから、患者は「お客さん」として丁重に対応すべきだという考え方がある。日本でも受診者を「診てあげる」という昔ながらの感情を一掃して、顧客として丁寧に接することが当然だ、と医師の日野原重明さんが「95歳私の証・あるがまま行く」(朝日新聞)の中で書いている。
▽受診者は大切な顧客だという意識の変化は、日本でも広がってきているというが、患者の身になって一緒に悩んでくれる医師が増えてほしいものである。(香)
以上、紀伊民報 2006.12.21 コラム「水鉄砲」より
一緒に悩んでいるだろうか。一緒に悩むには、共通の問題意識が必要だ。悩むにあたり、背景やら経緯らも共有されていなければならない。そんな関係に、プライベートを打ち明けられることが大切である。
医者は、治療方針を立てる必要があるし、治療を進める権限があるので、なろうと思えばなりやすいが、薬剤師はそれに比べると難しい。話を聞いてあげることができても、肝心の力にどれくらいなってあげられるか。
簡単に解決しない問題も少なくない。時間もかかることだらけだ。
悩む状態は、どちらかというと重苦しく、暗い状態だ。楽しくも、明るくもない。そのせいかどうかはわからない。明るい笑顔で接し(接遇上、最初から暗く陰気なのも困るが)、一緒に悩まずに、明るく?薬局を後にさせる様子が珍しくない。
「患者は顧客」といっても、立場上、負担金の授受を含むとはいえ、お金を払ってくれるからわがままでもなんでも聞く、といった打算的な意味ではないだろう。
ただちに問題は解決しなくても、多少は晴れた感じで、前向きに生活を送れるエネルギーを与えて、帰途についてもらうようにできればと思う
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