何かをすれば何かが変わる

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そして行動を起こし、何かを生み出す。

テクニシャン制度が導入されたら

2010-04-22 23:20:54 | 思いつくまま
 薬局にテクニシャンを導入するという話、米国をお手本に自分が大学を卒業した頃か、それ以前から言われているように思う。確かに、何年か遅れで日本にも導入されるのではないかと、期待もしていた。

 導入されるとどうなるか。導入されるとどう変わるか。そもそも導入の目的は何か。

 医療の場に新たな仕組みを導入するからには、それが患者のために、医療の質の向上につながるものとの期待があってのことである。果たして、患者に対して服薬管理、安全管理が向上するだろうか。するとしたら、テクニシャン制度をどう活用するとよいのだろうか。

・現在の調剤プロセスを考えたときに、最終鑑査や薬剤交付は薬剤師が担当することとし、調製まではテクニシャンに任せればよいのか。今も事務スタッフが入力や薬の取り揃えをしている薬局からすれば、何も今と変わらないのではないか。

・最終鑑査以降を薬剤師が担当したとして、一処方に1人の薬剤師が係わるだけとなり、1人の専門家だけの目しか入らないことになることはないか。薬剤師が調製も係わっていたときのほうが、処方に向けられる専門性は多いのではないか。

・薬剤師が調製から解放されたとして、その時間は何に向けられるのか。一患者当りに費やされる薬学的管理の時間や深さが増すのだろうか。それによって、患者の健康問題が今以上に解決したり、危険性から回避される事例が増えることに結びつくだろうか。

・捻出される時間も、たいして調製にかかる時間の少ない処方であれば、それほど多くはなく、結果として服薬管理レベルはこれまでとさほど変わらないことはないか。調製されてくるまでの時間、何か準備して待っているのだろうか。

・調製から解放された時間を、受付時の(調製前の)インタビューなどに向けることができるだろうか。

・薬剤師は患者に関わる場面に特化(集中)した業務となり、より少人数へとカットされ、またテクニシャンによって薬剤師手当も不要となり、経営者だけが喜ぶ結果になるだけではないか。


 つまり、テクニシャンというのは先例もあり、有望な業務改善のアイデアだと思うのだが、現行にいきなり導入したところで、服薬管理レベルの向上は期待できないのではないかと思われる。現状において、薬剤師の質が問題にされるのは、またレベルアップが進まないのだとしたら、テクニシャンが導入されていないからではないのではないか。

 テクニシャンという仕組みによって業務効率が図られるようにも思われるが、それはテクニシャンを活かし、薬剤師の業務がもっと重い業務に変わることが必要なのではないか。少なくとも、テクニシャン導入によって、現在の業務が緩和されることを期待しているのだとしたら、それは方向が違うように思われる。

 テクニシャン制度がないから質が上がらないのではなく、社会からもっと質の高いことが要求され、それに応える業務が相当増えてくることが先決ではないかと思う。現在、質の向上が出来ないようでは、テクニシャン制度が出来ても質の向上にエネルギーは向けられないのではないだろうか。

 まずテクニシャン制度ありきではなく、薬局の基本方針が質の向上に据えられないようでは、テクニシャン制度が国民の利益のための仕組みではなく、薬局経営のための仕組みにすりかえられてしまうおそれはないだろうか。

 ぜひ国民の利益に資する制度として迎えられることを願う。

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