何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

「買いたい!」のスイッチを押す方法

2009-12-29 16:19:23 | Book Reviews
『「買いたい!」のスイッチを押す方法 ――消費者の心と行動を読み解く 小阪裕司・著、角川oneテーマ21、2009年11月10日

p.29 買うという行動にとって最も重要なことは、「買いたい」じゃ「買いたくない」かなのである。

p.35 つまり、「買いたい」という情動は、常に「買えるかどうか」を検討する理性に勝るのである。

p.47 ほとんどのカテゴリーで店頭決定率(たとえば、お酒を買うことは予定になかったのに、店頭で決めてワインを購入した、あるいはワインは買おうと思っていたが、どの銘柄にするかは店頭で決めた)は70~80%にのぼっていた。

p.53 つまり情報は、五感を通じて脳に入ったとき、脳に影響を与えるのだ。その結果、動機が喚起される。

p.63 売れない原因は動機づけされていないからではないか。

p.78 彼の視点から見れば、未来の充実感や充足感に対する漠然とした気持ちが、ジャケットとパンツによって具体化し、一気にリアリティを帯びた。そこで買いたい気持ちがむくむくと湧き起こった。

p.78 「being(ビーイング)」とは、「存在そのものの価値感覚や生きがいといったもので、満足して生きる基本となる部分」だ。

p.80 「そうそう、こういうのを探していたんだよね!」
 意識的にそう思うというより、ある情動が突き上げてくるのだ。この情動を「フルフィルメント(fulfillment)」と言う。私流に日本語で言えば「ワクワク」である。

p.89 今の消費者は、自分の人生を生きているぞという感覚を持って生きたい。これが最大の欲求だ。そのbeing を求める欲求を満たすのが売り手の使命であり、役目である。すなわち21世紀の多くのビジネスは、being探求を支援するビジネスとなるのである。

p.91 モノやサービスを提示するだけで売れる時代は終わった。これからのビジネスパーソンは、未来を売る行為の中にモノやサービスを埋め込み、自分なりにシナリオを示すことでお客さんを買う気にさせなければならない。

p.111-2 お客さんにまかせておくと、してくれない可能性の高い行動――この行動に対しては、こちらが意識的に、計画的に働きかけて、動機づけを行わなければならないのである。

p.113 この「動機づけをしなければならない行動」が「買う」に至るカギだ。こういう行動を「キー・ビヘイビア(Key Behaviour カギとなる行動)」と呼ぶ。そしてこれを見つけ出すこ
と。これを正確に、そしてあらかじめ見極めておかなければ、ここで「買う」に至る一連の行動が止まってしまう。

p.130 そのチラシはいわゆる商品の説明ではなく、ましてや価格の訴求ではなかった。


p.134-5 彼女たちは単にプリンを食べたくなっただけではなく、この町で起こったワクワクする“プリン事件”に参加したくなったのだと。彼女たちはプリンを買いに来ていたのではない。ワクワクする未来を買いに来ていたのである。

p.144-5 この呉服店は単にモノを売っているのではない。お客さんを育成し、それによって結局長い目で見ればいい買い物をし続けてくれる顧客を創出している。

p.148 モノづくりに携わる人、その売り手、もちろんサービス業の方々も、お客さんの感性を育成していく必要があると、私は思う。作り手・売り手としてのレベルを高め、その価値をわかりやすく表現して、あるいはさまざまな機会に五感で感じてもらい、欲望のエデュケーションを図っていくのである。

p.157 (消費者の購買行動を創り出すマーケティングができるようになるためには)「行動が売り上げを生みだしている」というフレームから、自分たちのビジネスを見る習慣をつけることである。

p.160 「直観」は「瞬間的に感じ取る」といったような意味だが、「直観」は、「直接的に本質を見抜く」といったような意味だ。

p.165 ありとあらゆる手筋の中から最善の一手を瞬時に見出す。膨大な選択肢の中から一手を選び取る力――これを成すものを「直観回路」と呼ぼう。そして世の中が複雑かつスピーディになった今、この回路を磨くことが求められているのである。

p.167 羽生氏によると、将棋の世界では、今日指した手が同じ局面で明日も通用するとは限らないそうだが、ビジネスの世界も同じだ。

p.181 共感回路を磨く最も有効かつシンプルな手立ては、直接お客さんに会うことである。
 あらゆる立場にいる人がお客さんに会う機会を持つことで、共感回路の修練になるのではないか。少なくともビジネスにおける共感回路は磨かれるだろう。平たく言えば、お客さんの立場に立ってものを考えることができ、次に何を売ってあげれば喜ぶかが読めるようになる。

p.185 「重要なことは、考える総量だ」

p.187 人の購買行動を創り出すことは、単にこの知識を駆使して儲けることが目的ではない。消費者の暗黙の期待に応えることこそがその目的である。
 今日の消費者はモノやサービスを買いたいのではなく、「未来の私」を買いたがっている。であるならば、われわれ作り手・売り手も、それに応えていかなければならない。消費者が漠然と求めている人生の充足感や肯定感、“ワクワク”を得られる瞬間を実現する道筋を示し、そこにモノやサービスを埋め込んで、リアリティを感じられるようにチューニングし、未来へのチケットを渡してあげる。
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