新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

フユイチゴ:冬苺(地味な花でも確実に結実)

2008-10-11 08:34:16 | 植物観察1日1題

冬の山道を赤い実でいろどるフユイチゴ:冬苺(バラ科キイチゴ属)が、目立たない地味な花をつけています。
山地の林縁や林下に普通に生えるつる性の常緑小低木で、冬に赤く熟すか実は食べられます。
9~10月に枝先や葉脇に白い花をいくつか集まって咲きます。
花弁と萼片はほぼ同じ長さで、萼片の外面や花柄には淡褐色の短毛が密生し、花柱は雄蕊よりはるかに長く、どう見ても目立たない花です。この飾り気のない花が、無駄なく実を結んでいるのを見ると、どこかに送粉者をひきつける魅力を備えているということなのでしょう。

ユキミバナ:雪見花(気の早い名前)

2008-10-10 07:13:21 | 植物観察1日1題

植物園で見たこの花、なんで今頃この名前の花が?と思わせるのがユキミバナ:雪見花(キツネノマゴ科イセハナビ属)です。
1993年に新種として発表されました。ボツボツと咲き続く花が雪が降るころまで見られるのでこの名がついています。
かつてはスズムシバナ(06年10月3日記事)と同種と考えられていましたが、茎が立ち上がらず匍匐すること、花茎に著しい開出毛があることなどから新種とされました。
9~11月、茎の上部の葉脇に長さ3cmほどの筒状花を咲かせます。朝咲いて夕方しおれる一日花です。林縁部や草刈されたものほど花つきがよいといいます。

キバナアキギリ:黄花秋桐(複雑な蕊の形)

2008-10-09 07:13:28 | 植物観察1日1題



(上:キバナアキギリ、下:ミツデコトジソウ)

秋に黄色い花が咲き、葉形がきりに似ているから、あるいは花の形がキリに似ているからこの名がついているという、キバナアキギリ:黄花秋桐(シソ科アキギリ属またはアキノタムラソウ属)は、山の木陰に生える多年草で、葉は3角状ほこ型、茎は四角、高さ20~40cm、全体に長い毛があります。
花冠は2.5~3.5cm、雌蕊の花柱は長く花冠から出ます。雄蕊4個のうち2個が完全で、2個は退化してごく小さく目立ちません。アキギリ属は、2個の葯隔が発達して花糸のようになり、1個が花粉を出さない不完全な葯になっているのが特徴だそうですが、写真ではこの複雑な構造はよく分かりません。
キバナアキギリで葉の鋸歯が鋭いのは、それを琴柱に見立ててコトジソウの別名があります。植物園で見たのが、葉が3裂した変種のミツデコトジソウです。この写真のほうが複雑な蕊の形状が分かりやすいようです。

エゾオヤマリンドウ:蝦夷御山竜胆(霧多布岬に咲く)

2008-10-08 06:56:18 | 植物観察1日1題

秋も深まった感じの霧多布岬の草原に濃い紫色のリンドウとトリカブトを見つけたときは、あまり花を見かけない旅だっただけにうれしくなり、他のツアー客は振り向きもしない草原で一人写真を撮っていました。
図鑑であたると、北海道周辺には、エドリンドウ、ホロムイリンドウ、などがありますが、こちらは、背が低く、茎葉が広幅で、花は茎の先近くにだけに集まってつくという特徴から、エゾリンドウの高山型でエゾオヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)ではないかと思いましたが、平地なので疑問もあります。
海辺の草原には夏の花の痕跡がたくさん見られます。もう一度ゆっくり来たいとの思いが募ります。


エゾギク:蝦夷菊(??多分間違いの)

2008-10-07 07:14:05 | 植物観察1日1題
<ceter>
花の姿が少ない初秋の道東で、咲いていたのがこの野菊です。
バスガイドによると、この地の野菊はエゾノコンギクとエゾギクだといいます。紫色のこの花を見つけてエゾノコンギクかと訪ねるとこれはエゾギクで、エゾノコンギクはもっと濃い紫色だといいます。
帰ってエゾギクを検索すると、キク科の園芸植物で、一般にはアスターと呼ばれているとありました。アスターの原種は中国北部産で半耐寒性の1年草とありますから、これをエゾギクとしてもよいかもしれません。
北海道の野に咲くこのきれいな野菊を没にするには惜しく、名前には疑問を持ちつつ採り上げました。

マリモ:毬藻(国の特別天然記念物の)

2008-10-06 06:53:50 | 植物観察1日1題

過密スケヂュールの道東ツアー、早朝5時50分ホテルを出て、オプションの阿寒湖の観光船に乗ったのは、湖の中の島で展示されているマリモ:毬藻見たさでした。
マリモは淡水性の緑藻の1種で、特に阿寒湖に生育するものは、美しい球状体作ることで知られています。
マリモ自体は球状体ではなく、細い繊維状の個体が、たまたま水中の諸条件が重なって長い年月をかけて球状に成長したものといいます。同じ藻は琵琶湖にも生育しますが、琵琶湖では球状にはならないそうです。
ガラス槽の越しに見るマリモでも、数々の伝説を生んできた神秘さを感じさせてくれました。

ホナガノシロワレモコウ:穂長の白吾亦紅 

2008-10-05 07:30:51 | 植物観察1日1題

10月に入った道東地方は、野の花があらかた終わって寂しくなっていました。
その中で目立っていたのがホナガノシロワレモコウ:穂長の白吾亦紅(バラ科ワレモコウ属)です。
関東地方以北、北海道に分布し、山野の少し湿った草地に生える多年草で、高さは60~100cmになります。葉は奇数羽状複葉で、小葉は2~7対、長さ7~8cmの細長い楕円形で、ふちには粗い鋸歯があります。
8~10月、枝先に白い小さな花が集まった円柱状の穂を一方に垂れ下げます。花穂の長さは8~9cm、直径は1cmほど、花には花弁がなく、がく片が花弁のように見えます。
根にタンニンを含み、止血の効果があるといいます。


アツケシソウ:厚岸草(道東旅行の収穫)

2008-10-04 11:03:30 | 植物観察1日1題

3泊4日道東の旅を終えて帰りました。バス2時間で走っては15分の見物の繰り返しで、季節的な関係もあり、植物との出会いは乏しい旅でした。
少ない出会いの中で、うれしい収穫は、野付半島トドワラで見たアツケシソウ:厚岸草(アカザ科アツケシソウ属)でした。
北海道の厚岸町で発見されたのでこの名があり、ハママツ、ヤチサンゴの別名もあります。
海水をかぶるような砂地に生える高さ10~35cmの1年草で、枝は対生し、茎も枝も緑色、肉厚で節が多く、葉は鱗片状に退化しています。茎も葉もなめると塩辛いそうです。
8~9月、枝の先が棍棒状にふくれ、上部の節にごく小さい花を3個つけます。
秋には全体が紅紫色になり浜辺を美しくいろどります。
観光ポスターで見た網走熊取湖畔一面を真っ赤に染めるアツケシソウにはとても及びませんが、せわしないツアーのなかで、赤く色づいたアツケシソウに近寄れたのは満足でした。