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【金輸出が続く日本】アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?③

2013-06-11 00:04:50 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 もちろん、いまの日銀がこんな「通信簿」(中銀の通貨価値管理の巧拙を金価格に照らして測定すること)を意識することはないでしょう。

 黒田日銀の「異次元緩和」のおもな狙いは、国債等資産の大量買入れでベースマネーの拡大を図って為替レートを円安に誘導し、輸出企業が外需を取りやすくしようというもの。つまりいまの日銀は、「金融システムの安定」とか「物価の安定」といった、本来の中銀が守るべき規範から意図的に逸脱してまで、円の価値の毀損化を進めるという、相当にきわどい政策をとっているわけです(ある意味、確信犯ということですね)。

 だから金価格成績表に基づいて「もっと節度のある通貨管理をしましょう」などと1ブロガーが日銀にエラソーにいったところで、「そんなことは百も承知。ベースマネー拡大(円の価値の希薄化)は日本経済の最優先課題であるデフレ脱却(≒需要不足を外需で埋めること)のためだ!」と叱りつけられそう・・・。

 さて、そんな黒田日銀の金融政策(リフレ政策)は今後の日本人の(ゴールド)選好にどのような影響を与えるのでしょうか。このあたりを考えるために、わが国の金の輸出入量がどうなっているのかをここで確認してみたいと思います。

 このグラフは、上記の金価格に対する各通貨価値の推移で取り上げた期間(2007年7月~2013年5月)とほぼ同時期の、2006年から2012年までのわが国の金の輸出入状況を示したものです(出典:財務省貴金属輸出入通関統計)。これをみれば分かるとおり、ここのところ、わが国は毎年数十トン以上もの金を輸出していることになります。

 財務省統計によれば、日本の金の投資需要が売り越しに転じたのは2006年。それから昨年まで、日本は金の純輸出国となっています。この間、金価格は1トロイオンス600ドル程度から一時は1900ドル(2011年夏~秋)へ約3倍にも上昇したほか、2008年のリーマン・ショックを期に、それまで金を売ってきた世界の中央銀行が一転して買いに回るなど、金の需要が世界的に高まりました。当然、日本の金価格も1グラム2500円台(2006年12月)から同4700円台(2011年9月)へと、2倍近くに上がりましたが・・・。

 にもかかわらず、この期間に日本で起こったのは金の購入ではなく売却ブームのほうでした。このあたり、世界のトレンドとは真逆という意味で「金のガラパゴス現象」とでもいえそうです。実際、バブル期から2000年前後までに安値で金を買った投資家の多くがこの間の高値で金を売ったり、家庭等で眠っていた宝飾品が大量に換金されるとともに、これらに含まれていた金がリサイクル市場に回ったりしているようです。

 とりわけ金価格が直近での最高額である1トロイオンス1900ドル台をつけた2011年、わが国では金の売却が活発化し、結局、同年の純輸出量は約180トンまで増え、ここ数年での最高量を記録しています。この年の世界の金投資需要(地金・金貨)が約1490トンと前年比で24%もの増加となっていることと対照的な結果となりました。

(続く)


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