マスメディアは、企業の順列を決める場合に「売上高の大きさ」を指標にして、企業の業績を順にツケする慣習である。
しかし、投資家や金融業界から見ると、売上高が多くても会社の純利益がどうかの内容も、重要な指標である。
自動車会社の場合でいえば、下記の様な順位付けが妥当と思われる。
その後ろに、トップ経営者の年間報酬額を記して、比率を載せておく。
会社の純利益 トップ経営者の報酬額 報酬額比率
トヨタ自動車 1兆8231億円 2億3千万円 0.013%
フォルクスワーゲン 1兆2960億円 21億3千万円 0.164
ダイムラー 9400億円 11億5千万円 0.122
フォード・モーター 7510億円 23億6千万円 0.314
ホンダ 5741億円 1億5千万円 0.026
ゼネラル・モーターズ 3960億円 14億7千万円 0.371
日産自動車 3890億円 9億9500万円 0.256
フィアット・クライスラー 2800億円 31億2千万円 1.114
この順位の様に「会社の純利益」で評価するのが妥当かの議論があるが、少なくとも会社の経営手腕の結果の、成績表である。
ところが、その経営トップの報酬額は、全くの妥当性があるとは思えない。
会社の経営の産物である収益を、トップ経営陣が大半を分捕ってしまい、従業員の給料に報いる経営は、すでに、世界の標準からすると、例外なのである。
会社の利益が減ってしまうと、トップ経営陣は会社を去るだけで、また次の企業にスカウトされて、経営手腕を発揮すれば良い評価を得られるのだ。
アメリカなどの資本主義の成熟した市場では、従業員への配分は考慮されない。
日産自動車のゴーン社長は、株主総会で「報酬額が高すぎる」と指摘されたが、日本の経営者への報酬が低すぎるので、世界と比べるのが妥当だ。と反論した。
つまり日本は、資本主義制度の進んでいる方向では、遅れているのだ!と主張して、世界の潮流に追いつくのが必要だ、というのである。
従業員への成果の配分は減らして、トップ経営層への報酬を厚くすることで、「優秀な人材を集めて、経営するのが会社の成長にとって必要」と訴えている。
安倍政権は、この様な流れの方向に日本経済を引き込もうとしている。
これが、自民党政権の本音としたら、国民が支持する筈はないのに・・・・?