外国人の技能実習制度について、法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」が、1993年に始まった内容を改訂すべきと提言した。
何を言い出したかは、新聞の報道するところでは、「問題点を改善して制度の活用を図る」として、実習期間を3年から5年に延長する、としている。
この制度の表向きは、「発展途上国の外国人に期間限定で国内企業で働いてもらい、技術を身につけて母国で役立ててもらう」のが狙いである。
しかし、実態は「安い労働力を実質的に増やして、過酷な労働条件でも無理に働かせる労働ダンピング」の制度に落ち込んでいる。
表向きは、日本の高い技術を習得して母国に帰ってもらう国際貢献のために制度で、1993年から始まり、20年も経過している。
しかし、受け入れる企業側は、「安価な労働力」を手に入れる手段とみている。
この制度がないと、成り立たない業種もあると訴え、しかも一人前になるには数年かかるので5年くらいは続けて働いてもらう、と助かるという。
つまり、【安い賃金で働く労働力が欲しい】の一言に尽きるうえ、外国人労働者だと日本人よりも一段と安い賃金で使うことになる。
この制度のために、日本の働き手の最低賃金が、さらに安く抑えられるのだ。
安い労働力頼りの仕事では、企業側の違法行為も多発して、給料のピンはね、残業代の不払い、労働災害隠し、などの評価を下げる不法行為が多発している。
アメリカ政府は、この様な「不法な強制労働的な実習制度」の対策を、日本政府に要求している。
法務省がその対策として、不法行為をした企業には罰則を強化するとしたが、
ナマヌルイ対策、罰則では、労働ダンピング的な実習制度は悪用されるだけだ。
安倍政権は、この労働ダンピングの悪影響が、まったく理解できていない。
働く人が集まりにくい業種には、より高い賃金を支払うのが経済合理性がはたらき、安い賃金しか払えない企業経営者は、退出するのが合理的なのである。
それを、国債貢献の美名のもとに、「外国人の技能実習生制度」を作り、目的とはかけ離れた実態を放置してきた政権に責任がおおきい。
日本の賃金デフレからの離脱を最優先課題として、その政策の沿って最低賃金の引き上げを早急に実施するのが先決である。
それで、安い人件費しか払えない企業には退出を迫り、その代わりに、新規に起業する経営者の支援に、多くの補助制度を作って行くのが、本来である。