日本の政治家たちには、国の将来のビジョンを示して、国民の信任を得ることでリーダーシップを発揮する政治を期待されている。
しかし、相変わらずの当面をつくろう経済対策のつぎはぎに終始して、希望の持てる長期的な政策目標を提示する政党も、政治的リーダーも不在である。
しかし、現代の先進国と呼ばれる各国の事情を見ていくと、1990年代には、「わが世の春を謳歌」していた「ヨーロッパ諸国」は、いまやバラバラである。
特に、「共通通貨ユーロ圏」の拡大によって、無理やりに経済的な市場統合を進めようとしたために、【弱小経済国と経済強国のドイツとの間の格差が拡大】した。
国毎の文化が違い、言語の違いもある「共同体は成立するのか」大議問である。
移民の自由化の問題を無理強いした「EU圏」からは、ついにイギリスが離脱を決意して、経済的な関係がどのような影響を受けるかも不透明である。
ヨーロッパ諸国の分裂方向を見ても、「欧州共同体」の理念は、お手本になる可能性は、ほぼゼロになっている。
その対抗軸のアメリカ社会は、ブッシュ政権下の謀略的な産業界寄りの政治によって、【所得格差の拡大が社会を不安定】にする段階にしてしまった。
ついに金融業界の暴走を放置したために、リーマンショクのような経済破綻を生じて、アメリカ国民の将来を絶望的な状態に陥れた。
その再建を期待されて、「チェンジ」を標榜したオバマ政権は、なんとか危機は脱したものの、アメリカの国力は大き衰え、国民は貧困化にあえいでいる。
日本の経済発展は、すでに終焉したかのように、この20年以上もデフレ経済にあえいでいる。
このような場合には、ヨーロッパかアメリカの成功している政策を、日本流に改良したりして、日本の政治の取り入れてきたのが、「自民党政権」である。
金融業界の不祥事も含めて、1990年代は、「金融自由化とビッグバン」を、世界の方向だとして、金融業界の再編成を実施した。
その後は、情報通信業界の閉鎖的市場を、アメリカ流を取り入れた方式で、なんとか世界に追いつくレベルに改善してきた。
日本が先頭を走るのではなく、2番手・3番手になって、成功した部分を取り入れてきたのが自民党流の政治的な改革である。
デフレ経済の脱却には、アメリカのFRB流の「超金融緩和政策」見習って、とにかく異次元の緩和策を「安倍政権はアベノミクス」として実施した。
これも、要するに「後追いで成功事例を真似している」ようなものである。
しかし、アメリカ国民と違って、日本人は、「インフレターゲット政策」には、そっぽ向いている。
「消費性向」は一向に改善しないので、ついに安倍政権は、「収入格差の縮小政策」に転換して、「一億総活躍社会」と銘打って、国民の支持を得ようとしている。(続)