少子化の課題に対して、安倍政権は有識者を集めて対策の方針を検討してもらうことを始めている。
しかしやっていることは、少子化がより一層進むことばかりを採りあげて、若年世代、特に女性に対して、【家庭を持つことの不安】を増加させるばかりだ。
経済を強くすることは、将来の生活への安心を強める助けになるが、その手段としての、「貿易の無制限な自由化」を目指す[TPP]交渉の譲歩では、逆効果でしかない。
ましてや、経済を強くもしないのに、旧時代への逆戻り的な【原発再稼働】と【核武装への道】を強化する様では、少子化が止まることはあり得ない。
原発への依存を続ける「エネルギー基本計画」では、日本の将来においても安全性よりも大資本、大規模事業を偏重する方向で、少子化を加速した原因だ。
経済成長を最優先にしてきた国策としては、適切な政策であったが、それも1990年までの段階で終わっている。
その後は、金融重視政策やら、情報化社会へ向けての「IT産業立国」など、将来像に対する迷走を続けて、将来への不安を拡大してきた。
歴代の自民党政権では、【少子化の流れ】を止めることができずに、とうとう、先進国の中でも一番低い「特殊出生率1.4」にまで落ち込んでいる。
この原因をしっかりと分析もせずに、1990年までの経済成長路線、[GDP]の数値目標を追い求める既得権層の言い分ばかりを、鵜呑みにしていた。
2000年代の構造改革路線では、腐敗した既得権層を破壊する革新を図ったが、その後の「自由競争路線至上主義」によって、「賃金デフレ」の常態化に進んでしまって「ブラック企業」の増加を放置してしまった。
これが、若年世代の晩婚化、非婚化を加速したのが間違いないのである。
賃金デフレは【デフレ経済の長期化】を引き起こしただけでなく、結婚しても共働きをしなければ、一定以上の生活が出来ない。
この当然の傾向に対して、歴代の政権は、【保育所の慢性的な不足】を、自治体の責任で解消する政策に責任を転嫁してしまった。
財源不足の自治体などは、それどころではないとして、保育所不足と低レベルをそのままにしたので、当然の様に、子供を産まない家庭が増える方向だ。
必要最小限の「保育所の充実、増設」すら出来ない安倍首相は、日本の将来を本当に考えているのか、頭の中を理解しがたい逆方向の政治をしている。(続)