福島原発大事故の賠償金と、事故処理費用、溶け落ちた燃料の状態もわからない「廃炉費用」の総額が、どんどん膨れ上がっていく。
そのうちの、賠償費用は7.9兆円であるが、5.5兆円分については「他の電力会社も一般負担金」として、原発の出力などに応じて負担している。
原発の電力で利益を上げてきたのだから、賠償金の負担を義務つけるのも、やむを得ないとの理屈だろうが、国民への説明もない。
この賠償金の負担額は、電力会社の経費となって「電力消費者」=国民が負担を強いられることになる。
つまり、原発を容認してきた地域の電力消費者が、応分の負担をするべきだ、という政府関係者と経産省の役人の判断である。
その結果、「朝日新聞2月27日朝刊1面」での報道によれば、四国電力管内の電力消費者は、世帯あたりで年間1484円の追加の出電気代を払わされる。
東京電力管内では、1159円の金額で、四国電力の住民は⒈3倍の負担増である。
本来は、東京電力管内の消費者、住民が、福島原発の恩恵を一番に受けてきたのだから、東電管内の住民だけで負担をすべき性格の賠償金である。
それを、【原発の再稼動推進の方針に固執する】安倍政権では、「東電管内の電力価格が大幅に上がる事態(賠償金の負担増過分の全額値上り)を誤魔化したい。
もし、その事態が実際に起きれば、原発の負のイメージがさらに増加し、各地での原発再稼動に反対する住民意識に火を注ぐことになる。
つまり、国民には出来るだけ「事態が過少に見えるように」して、安倍晋三政権下では、国民をごまかすことが優先する。
福島県の原発大事故は、原発の設置を容認した「福島県民の判断の誤り」でもあるが、多くの県民が生活の破綻や先祖から引き継いだ土地を失う不幸にあった。
それを全部の損害を自己責任にするのは、日本国民の心情として許されるわけが無い。
だから、電気料金に上乗せして、痛みを全国民で分かち合おうというのは良い。しかし、国民が見える場での議論もせず、四国電力管内の住民の方が、東京電力管内の人よりも重い負担をさせられるのは、理屈に合わない。
地方創生をはじめとして、地域格差を縮小しようという、大きな目標があるのに、原発の災害を過小に見せるために、こそこそと内閣と経済産業省で負担を決めてあとは知らん顔をするような政府は、信用されるはずが無い。
全てにおいて、安倍政権のやり方は成果だけを数字で強調して、自分たちの手柄を大げさに宣伝するが、都合の悪い事は数字を過小にして誤魔化そうとする。
2013年にはじめた「アベノミクスの3本の矢」に込められた目標は、的を外れて迷走状態であるのに、誤りも認めず、強がりの「成果と一億層活躍社会」と、言い換えての【現状のパッチワーク的な修復】に奔走しているだけである。(続)