「原発への依存を可能な限り下げてゆく」との基本姿勢は、政権与党である自民党と公明党の公約にもとづく、連立政権の基本である。
そして、対抗する野党は、「原発をゼロにする方向」では一致していて、その削減して行く時期の目標での違いがあるだけである。
これだけハッキリしている公約であるから、「安倍政権が打ち出したエネルギー基本計画」では、原発をどの様な基本手順で減らしていくか、計画に盛り込まれなければ、『基本計画』とは言えない。
それが、「重要なベースロード電源」と規定しただけで、計画は一切なしである。
この基本計画を、もしもこのママ、自民党の政治家、公明党の政治家が承認したとしたら、政権発足時に合意した連立方針を放棄して、総選挙で獲得した選挙民をも欺く、公約違反は明らかである。
例えば、40年を経過した原発は廃炉にする方針や、地元自治体の承認が得られる可能性がない原発(例えば、福島第二原発の4基)は、廃炉にして行く方向を決定するなど、削減する基本原則を打ち出す様に、『エネルギー基本計画』に盛り込むべきである。
そうすれば、代替電源の稼働すべき時期と規模が具体的に計画することが可能になって行く。
さらに、稼動開始から30年以上を経過した原発は、すでに、建設費の償却をほとんど済ませており、これに安全対策を追加で投資しても、10年以内には40年経過によって廃炉にするから、投資効率は良くない。
電力会社の経営判断に任せるのではなく、廃炉処理を促進する制度を作って、出来る限り旧式原発から、退役させる方が良い。
この様な制度を作れば、残り44基の原発のうち、14基は「廃炉に向けた路線」を「エネルギー基本計画」に盛り込んで、その代替電源への切り替え方針を打ち出すのが得策である。
基本的な問題として、使用済み核燃料の廃棄処分の方法と処分地の計画は、全く具体性がない状態で、検討と調査を継続することになっている。
これでは原発を、「重要なベースロード電源」とする基盤はできていない状態だ。
この放射性物質の最終処分の計画が実現可能になって初めて、「ベースロード電源」といえるのだが、具体性のない「希望的な願望電源」と言うべきである。
これらの課題を明確にしないままの計画は、経済活性化のブレーキとなるのだ。