日本の将来の国創りの基本である「エネルギー戦略」の策定において、安倍政権の方針は、経産省の官僚の路線に乗せられていた。
2011年の福島原発大事故によって、原子力エネルギーへの不信が、国民全体に広がっていたのに、経産省の原子力官僚は甘く見ていた。
安倍政権の発足によって、民主党政権の「脱原発エネルギー戦略」を、原発を主力電源とするエネルギー戦略に転換させることに成功した。
おまけに、地球温暖化問題が世界での最重要課題に浮かび上がっているという状況を見誤まり、【石炭火力発電を主力電源】にすえた。
これを安倍政権は、アベノミクス推進の基本条件としてしまった。
その影響で電力業界をはじめとした産業界は、脱原子力、脱化石燃料の流れから遅れて、基幹産業転換の大事なチャンスを逸してきた。
ここにきて、6年間も迷走した挙句の果てに、原子力発電設備の海外輸出戦略は破綻して、三菱重工、東芝、日立の原子力企業は撤退した。
これで、原子力発電産業は、今後は国内の原発の維持管理と廃炉作業に生き残りを託すしかない。
その上に、地球温暖化問題は、2015年のパリ協定の発効によって、世界中が『脱石炭火力発電の潮流』に転じている。
この動きを見誤っていた、三井物産、三菱商事、伊藤忠商事の各社は、石炭火力発電関連産業から徹底する動きに転換した。
安倍政権は、完全に置いてけぼりの地位に転落してしまったのである。