安倍政権の旧時代感覚は、あらゆるところに思惑違いを引き起こしている。
超金融緩和による「国債の大量買入れ」は、銀行が保有していた国債を日銀が買入れることで、銀行に大量の資金を流す政策であった。
ところが、銀行に渡ったお金を国内の企業、特に地方の中小企業に回して、投資を促す狙いであったが、国内需要が低迷したままでは、投資意欲は起きない。
日銀では低金利で企業に貸出しをすれば、融資額が増えて国内に潤沢なお金が回ると見ていたが、それは完全に思惑違いであった。
一方で中央の「大手銀行での潤沢な資金」は、国内企業への貸出には回らず、国際化した大手企業の海外事業拡大への投資資金に回っている。
つまり、超金融緩和政策によって「円安に誘導」した結果、一般国民と地域の企業には円安による経費増の負担を回して、お金を吸い上げて来た。
その反面で、銀行に集まったお金は「海外への事業拡大資金」となって、大手企業、国際化した企業の業績拡大に回されたのである。
ホンの一部のお金は、春のベースアップの資金に回されたが、下請け企業や中小の輸入経費の増大による損失を被る企業では、賃金上昇は望むべくもない。
この様な現状を見た「若年世代」は、将来に生活に夢を託すことはできない。
地方の下請け的企業で働く人への「賃金上昇」の潮流を作りださなければ、消費意欲の増加もなく、地域企業の新規投資意欲も増えていかないのだ。
この様な「地場産業」や「下請け企業」の活性化を図ることが先決で、それによって働く人の賃金上昇を、最優先で引き上げることが必要なのである。
大企業や銀行の優遇によって、上からおカネを注いでいく「トリクルダウン効果」は、もはや期待できない経済論だ。
地方企業、地場産業を優遇して、現場で働く人を最優遇してこそ、日本の経済の活性化はホンモノになっていく。
中央からの経済活性化の本場である「東京都の特殊出生率」が、全国で最低の1・1であること知るべきである。
その一方では、北陸の県では、全国の平均を上回る特殊出生率で、この現象は、地方での仕事の安定度と余裕、家庭生活の安心感が優れていることによる。
それでも、「人口減少を止める特殊出生率2.1」を、大きく下回っている現実を重く見て、総論的な[GDP](国内総生産)増加を論じる政策は、すべて見直すことが、日本の豊かな将来に向けての再出発になるのである。