庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

温暖化対策税の創設は、財源を獲得する最適な手段だが。

2010-03-19 | 環境問題
「国内排出量取引制度」の中身は、なんとも多岐にわたり、専門家の中でも議論が大きく分かれている状況を説明したが、問題が多いことを理解してもらえたでしょうか。
しかしヨーロッパの諸国ではすでに、導入が進んでいるし、アメリカのオバマ政権は、法案まで準備をすすめている。
日本も立ち遅れてはいけない、と言う風潮がマスコミの中でも強くなり、排出量取引制度を導入しないのは、環境問題に否定的な態度の表われだ、としている。

だが、排出削減を促進させる政策は「排出量取引」以外に、まだ検討すべき課題として多くある。
その中でも【炭素税】は、一番期待が持てる税金による誘導政策であり、「バッド課税・グッド減税」の代表事例である。
著名な経済学者も、この【炭素税】(日本では「温暖化対策税」と呼ばれている)による手法が、一番合理的であり、公平性、実効性、そして、財源の調達にも適していると評価している。

そこで、「排出量取引制度」の混迷状態から一時離れて、【炭素税】の仕組みと、その効果、弊害、問題点について、書いてみよう。
【炭素税】とは、化石燃料に含まれる炭素の量に比例して、税金をかける制度であり、単純明快である。
環境省ではすでに「温暖化対策税」の素案として、各燃料の税率、税額を提案している。
石炭は炭素の塊で、一番税金が高く、次に重油、軽油、灯油、ガソリンの順に低くなる。
一番炭素の量が少ない天然ガス(メタン)は課税額が少ない。

これは、火力発電所で石炭を燃料とする電力を抑え、天然ガスによる発電を有利にする効果があり、これから新設や更新、改造をする場合の、誘導政策となる。
では誰に、どの段階で税金をかけるのか。
個人の段階では、エネルギー源は電力、ガス(天然ガス)、ガソリン、灯油、などであるが、
この時に税金はいくらか、その都度、かかる金額を購入者から徴収するのは不便である。
では、ガソリンや灯油を売るスタンド業者から徴収するのかというと、これも全国の至る所に散らばっているし、スタンドを経由するとは限らない。
などなど、下流(最終使用者)に行くほど、徴税には手間がかかり、不正やゴマカシが入り易くなる欠点がある。

そこで、一番確実で、経費のかからない方法として、化石燃料を日本に輸入した時点で、それぞれの燃料に課税する。
これを上流課税と言う呼び方をし、(日本は島国であるから)陸揚げ税とも呼べる。
石炭や原油は、それぞれの税金を輸入した事業者が国に納めることで、納税者の数は限定されるので、税金の管理も容易で、あとあとの検査もしやすい。
従って、徴税経費は最小で済み、不正や錯誤は起きにくい。
こんなに有利な財源の調達方策は滅多にないし、炭素含有量の少ない燃料への転換政策として、最も合理的である。

それにも拘わらず、産業界からは猛烈な反対活動がおこった。なぜか?(次回に)

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