国内の最重要課題は経済の活性化であり、国民生活の豊かさを維持する[安定的な収入の実現]であることは言うまでもない。
「アベノミクスの第一の矢」で被害を被った勤労所得者は、円安による生活経費の圧迫を受ける一方であったが、今年の春のベースアップによって、少しはとりもどせたであろうか。
経団連が発表した大手企業の賃上げ額は、「定期昇給を含めた組合員平均で、2.28%アップ」であった。
これを1998年以来の16年ぶりに7000円を超えた、と新聞は報じている。
この数字と報道ぶりから、一般の国民は、さも景気が回復して働く人への還元が進んでいるかのように、思わされるのが問題である。
まず、この金額は、大手企業の実績であって、それに関連する外注企業や孫請け企業の実績は全く判らない。
そして、今年の4月からは16年ぶりどころか、それ以上も続いていた5%の消費税が8%に増税されたので、少なくとも2%以上は生活費が増加している。
それに加えて、安倍政権の円安誘導による【輸入品の価格上昇】の影響を受けて、昨年後半からは確実に物価上昇に転じている。
一部の大手企業に還元されたかに見える企業の収益アップは、生活を維持する経費増加を補うレベルの「給料アップ」には、なっていないのだ。
むしろ、表向きの自社の正社員の給料だけは、経団連が政府に圧力をかけてきた見返りとして、「安倍政権の賃上げ要請」に形だけ繕ったのである。
その波及効果はどこまで浸透するかは、まったく不透明のままで、企業規模のよる賃金格差は拡大している懸念が大きい。
その指摘もしないで、大本営発表のそのまま、新聞に載せる「マスメディアの報道姿勢」の、怠慢ぶりも問題である。
この様な大手企業の代表格である「経団連の発表」を、客観的な数値の分析を加えて、本当の姿を国民、読者に伝える使命があるのに、無責任であろう。
この20年以上に渡って、マスメディアの無責任な報道姿勢が、正社員の比率減少を放置し続ける風潮を生みだした。
その影響で、平均賃金が減少し続ける【賃金デフレ】を防げなかった。
むしろ「価格破壊、人権費コスト削減」が正当な企業活動であるかの様な【錯覚を国民に広めた】コトで、デフレ経済への加担責任は大きい。(続)