日露間における大きな懸案は、やはり北方領土問題を未解決のまま、60年以上も進展がない、ことが大きな障害となっている。
ソ連時代においては、大きな政治体制の違いと、冷戦状態のままでは、領土問題、平和条約の締結は、望んでも不可能な課題である。
ところが、90年代に入ってから、ロシアの民主化の動きが始まり、何度も好機があったように思われるが、ロシア側の問題が多すぎた。
しかし、プーチン時代になってからは、ロシア側からのアプローチが数回あったにも関わらず、今度は、日本が不安定だった。
経済停滞による日本の国力低下も著しく、とても外交交渉での有利なアプローチができにくい状態が続いた。
しかも、2006年以降は、歴代の政権が1年毎に交代しているようでは、ロシアも日本の交渉姿勢の不安定には、付き合いを渋るのは当然だ。
2013年以降は、安倍政権の時代が続いたので、以上の悪条件は無くなったのに、安倍首相はただ、アメリカ対応、東南アジア対応に追われて、日本の隣国、ロシアとの関係改善を軽視してきた。
1950年代の外交交渉の成果を繰り返すだけで創造性がなく、あとはソ連時代からロシアに変った情勢の分析すら、お粗末なままだった。
最大の難関は、ロシア国民に意識の変化であろう。
北方領土を返還するのは、今や、国民的な国辱的譲歩と受け取られかねない。
怠惰のツケが安倍政権、いや日本国民に回っているのだ。