庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

脱原発は総選挙の争点として低いレベルのスローガン。

2012-11-20 | 核エネルギー・原子力問題
国民は長期のエネルギー政策を決めるに当たって、中央官僚が作る「長期エネルギー政策見通し」という、経済産業省主導による【省益優先】に適合したエネルギーミックスを鵜呑みにしてきた。
なかでも、経産省の中で最も力の強かった原子力族官僚に主導権を握られていて、21世紀の本命エネルギーである「再生可能エネルギー」(経産省では新エネルギーと呼び、新参モノ扱い)は、つけ足し程度の余計者扱いであった。
その影響で、日本には優れた「再生可能エネルギー技術を持った民間企業は多いにもかかわらず、普及率においては、欧米にはるかに遅れをとった。

3・11の原発大事故の影響で、国民は「原子力ムラの暗躍」の実態を知り、脱原発依存社会に向けての国民的総意を創りだした。
日本の様な狭い国土で、地震・津波の自然災害が【世界中で一番頻発する】環境の中で、原子力発電に頼る「賢くない選択」は止めるべきなのである。

今回の総選挙でも、原発に対する政策は、まだ振れ幅が大きいが、すべての人が「原発を止めて行く方向に合意」している。
総選挙の争点は、原発を止めて行く時間的な目標の違いだけが浮かび上がる。

技術的、産業政策的には、「原子力エネルギー即時ゼロ」にしても、電力不足の問題はクリア―出来ることは明確である。
再稼働を止めると、当面は化石燃料の輸入増加による貿易収支の悪化が起きる。

電力会社は、燃料輸入増で軒並み赤字になると訴えているが、沖縄電力は原発ゼロでも、他の電力会社よりも電気料金はわずかに高いだけである。
離島地域を持たない有利さを見れば、原発稼働ゼロでも、沖縄電力よりも電気料金を低くできるのが本来の姿で、再稼働否定は値上げとは関連しないのだ。

「脱原発」は総選挙の争点として掲げられているが、「発電・送電の分離制度」が実現すれば、原発を持つ電力会社の経営は不利になるのは明らかで、政治の力よりも「経済原則で原発ゼロに向かう」のは当然の成り行きである。
今後に重要なのは、原発の運転を40年以内で止めて廃炉にする計画を、国民の負担を最小にとどめる「原発離脱政策」が、本格的に議論される必要がある。

【原発即時ゼロ】【2020年までにゼロ】【2030年代にゼロ】【10年間は今のママ様子見】、と主張は乱立している。
だがどの政党も、「国民負担を最小にする原発離脱政策」は未着手なままで、スローガンだけに留まっているレベルでは、選挙民に対して無責任であろう。

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