Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

お亡くなりになったロブ・グリエと美しい靴

2008-03-14 12:53:31 | Weblog
「去年マリエンバードで」がニューヨークでリバイバル上映されている。何故だろう、と思ったら、この脚本を書いたアラン・ロブ・グリエが2月にお亡くなりになったそう。NYの雑誌レビューに書かれていたのだが、アメリカでは、ヌーボーロマンの旗手、ロブ・グリエはあまり知られていない。そして、彼を高く評価したロラン・バルトも同じくそう知られていない様に思う。レネはよく知られていると思う。

最近、ボリス・グロイスのテキストとして紹介した、テーオドール・レッシング(「ラオコーオン」を書いたレッシングとは別人)が、亡命先のマリエンバードに滞在中にナチの軍隊に射殺された、という文章を目にした。アラン・レネは自らのユダヤ人としての出自を、ホロコーストを直接扱うのではなく、大戦が招いたもう一つの悲劇である広島をテ-マに「ヒロシマ・モナムール(邦題:二十四時間の情事)」を製作したと言われているが、そう考えられると、ユダヤ人亡命哲学者であるレッシングが射殺されたマリエンバードをテーマに据えることで、レネはヨーロッパの亡霊を扱ったのではないか、という問いさえ生まれる。今度、この映画をプロイセンの没落貴族出身で西ドイツに亡命した家族を持つ友人と一緒に見ることになった。どんな風に思うのか、感想を聞くのが楽しみだ。

「マリエンバード」は、以前ブログにも書いた様に、ゲームを開始した人が絶対に負ける、というゲーム理論の一つでもあるのだが、それを男女の恋愛関係に置き換えたのが、ロブ・グリエとレネの天才だと思う。しかも、あれほど美しい映像を取れる人は、もはやそういないだろう。レネは本当に最高ですね。

昨日、ブータンに住んでいる友人から、ブータンの宗教儀式に使うという、美しい長靴が送られて来た。突然、友人から「シンヤ、足のサイズはいくつ?」と聞かれたので何が送られて来るのかとソワソワしていたのだが、荷物を開けてみてびっくりした。本当に美しい、鮮やかな靴で、ひざの所まで伸びる靴のすねの部分は、ひざの裏で黄色い紐で結ぶようになっている。この黄色は、ブータン王室の色らしく、私がこの色を使って本当に良いのだろうか、と不安になってしまう。今度、アジアン・コンテンポラリー・アート・ウィークのイベントにでも履いて行こうかしら。

二十四時間の情事

アイ・ヴィ・シー

このアイテムの詳細を見る

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。