Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

Xiao Luオープニングとアワー・ミュージック

2006-10-21 13:53:57 | Weblog
水曜日のXiao Luのオープニングは、非常に厳しいものだった。

プレスリリースに書いたように、Xiao Luは天安門事件直前に開かれた伝説的な展示「China Avant-Garde」で中国人民の顔が反射する鏡張りの電話ボックスを拳銃で破壊し、そのお陰で体制側から睨まれ、オーストラリアに亡命したフェミニスト・アーティストである。水曜日の当日、ギャラリー内でパフォーマンスを再現しようと拳銃を作品に向かって発砲する予定が、保険会社とニューヨーク市から許可が折りず、結果パフォーマンスは断念することに。オープニング直前にも警官が駆けつけ、混乱を収拾するのに大変だった。

そんな訳で、合法的に運営している拳銃が発砲できるスタジオにて作品に発砲し穴を開けたものを展示することに。破壊された作品をインストールするのに時間がかかり、インストールが完了したのは展示開始から1時間後。本当に必死だった。とにかく疲れた。

そんな疲れを癒そうと、今日は以前から見たかったNotre Musique(邦題:アワーミュージック)を見る。非常に美しい作品だった。

ゴダールが私がテーマとしているものを近い主題を扱って作品を作っていることが分かって、素直に嬉しかった。(そういえば、この映画にも引用されているDo you remeber Sarajevo?を撮ったクルセイヤコビッチ兄弟も、「ゴダールが褒めてくれた」、と言って素直に喜んでいたのを思い出す。ちなみに、その映画のポスターをデザインしたのがセイラ・カメリッチだった)

フォーエヴァー・モーツァルトの中でもゴダ-ルはサラエボをテーマとして作品を撮っていたが、なぜゴダールがサラエボをテーマとして現在作品を撮っているのか、分かりすぎるほど分かる。現在、レコンキスタ以降のマラーノ(改宗ユダヤ人)の問題に興味があるのだが、サラエボはオスマントルコ時代に少数であったユダヤ人がある種ニュートラルな立場に立つことが許された数少ない場所のひとつである。それを象徴するかの様に、映画の冒頭で第一次世界大戦の追悼のシンボルである永遠の火が映し出される。その二つを入れないと、ヨーロッパ近代が抱えた問題をあぶり出すことができす、そうなると、イスラエル問題を話すことが不可能になると思うのだ。また、モスタルを「トルコ語で橋という意味です」というシーンを、先生が子供に話しかける、という形で入れているのが、非常に丁寧だと思った。

でも、アワーミュージックという邦題がよく分からない。これは、Hourなのか、Ourなのか?なぜそのまま原題で公開しなかったのか、疑問が残った。

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2 コメント

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こんにちは (nakai)
2007-05-11 22:03:23
渡辺真也さん、こんにちは。ご無沙汰しています。
ゴダールのNotre Musiqueですが、フランス語でnotreは「私達の」なので、Ourですね。
まだ映画を観ていないので、観たいなと思っています。
いつもご活躍、素晴らしいなと思っております。
応援しています。それでは。
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notre (真也)
2007-05-12 02:07:18
nakaiさん、ありがとうございます。notreで私たち、という意味になるんですね。。。フランス語はさっぱりなので、何でnotreでアワーなんだろう、と思っていたのです。情報、ありがとうございました。
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