Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

ハリー・ハルトゥーニアン教授にお会いする

2008-11-22 13:06:47 | Weblog
昨日は、作家で翻訳家としても活躍している高祖岩三郎さんと、日本学の権威であるハリー・ハルトゥーニアン教授とバーでご一緒し、お酒を軽く飲んで来る。

ハルトゥーニアン教授という超一流の日本学者とご一緒するにも関わらず、私はまだ彼のOvercome by Modernityを時間不足で読めていなかった。それを冒頭にお話するとハルトゥーニアン教授は、「いいよ、時間のある時に読んでくれれば」と、優しくおっしゃって下さったのが印象的だった。歯切れ良く、元気にしゃべるその姿はどこか立川談志を思わせ、「江戸っ子みたいですね」、と言ったら、笑ってくれた。ご高齢にも関わらず、とにかく元気そうだった。

ハルトゥーニアン教授は私のAtomic Sunshine展のカタログをご覧になって下さっており、展示作品に興味を持って下さっており、そんなお話をする。やはり、ビジュアルイメージとテキストのみよりも、お会いしてお話した方が、より多くを共有できる。サブさんと一緒に、瀬戸内海の島から、日本近代、そして西田哲学まで、話は多岐に渡った。

私は、ぜひこの機会にハルトゥーニアン教授に伺いたかったのが、アルメニア正教と実存の類似性であった。

ローマの三位一体という思想の延長線上に文明を築いた西ヨーロッパは、実存、すなわち三位一体ではなく、子=イエス=神である、という人間=神、という原始キリスト教=アルメニア正教に、第二次大戦を経た20世紀にようやく到達したのではないか、そしてキリストは人間であり神である、という思想は、日本のアニミズムと構造として類似しており、その為に実存哲学が日本で良く受容されたのではないか、という質問だ。

ハルトゥーニアン教授は、ほほう、という感じで話しを聞いた後に、しばらく考えてから、それ以上その話をしてくれなかった。しかし、私としては彼にこの自分の意見を言えただけである種の満足感に達成してしまい(笑)、まあ、答えはどうでも良いかな、そしてこの問題は、私自身が考え抜かなくてはならない問題かもしれない、と思った。


ブログにオバマに関する記事を書こうとずっと思っているのだが、なかなか考えがまとまらない。個人的なアメリカ中部時代の経験が多きすぎ、その感覚を十分に共有せずに黒人大統領であるオバマについて意見を述べることに少し抵抗があるのと、また、オバマ就任以降のアメリカの動きに関して、ある種の期待と楽観のユーフォリアが発生しているのが、とても危険だと思うからだ。問題の核心はそこにはない。もっと根本的なもの、それが重要だ。

貨幣とネーションの問題が、根本的に問われて来るのが、オバマの就任以降ではないか。個人的には、それを考えて行きたい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。